Cloud Manager およびパッケージマネージャーを使用したコンテンツパッケージのデプロイ
Cloud Manager を使用したデプロイメント
お客様は、Cloud Manager を使用してカスタムコードをクラウド環境にデプロイします。Cloud Manager は、ローカルでアセンブルされたコンテンツパッケージを Sling Feature Model に準拠したアーティファクトに変換します(このモデルは、クラウド環境で動作する際の AEM as a Cloud Service 上のアプリケーションを記述するものです)。その結果、クラウド環境のパッケージマネージャーでパッケージを調べると、名前に「cp2fm」が含まれており、変換後のパッケージではすべてのメタデータが削除されています。これらを操作することはできません。つまり、ダウンロードしたり、複製したり、開いたりすることはできません。コンバーターに関するドキュメントについて詳しくは、
GitHub の sling-org-apache-sling-feature-cpconverter を参照してください。
AEM as a Cloud Service 上のアプリケーション用に作成されたコンテンツパッケージでは、不変コンテンツと可変コンテンツを明確に分離する必要があります。Cloud Manager は可変コンテンツのみインストールし、次のようなメッセージも出力します。
Generated content-package <PACKAGE_ID> located in file <PATH> is of MIXED type
この節の残りの部分では、不変パッケージと可変パッケージの構成と関係について説明します。
不変コンテンツパッケージ
不変リポジトリーに保存されるコンテンツとコードはすべて、Git にチェックインし、Cloud Manager を通じてデプロイする必要があります。つまり、現在の AEM ソリューションとは異なり、コードは実行中の AEM インスタンスには直接デプロイされません。このワークフローにより、任意のクラウド環境で特定のリリースに対して同一のコードが実行されるようになり、意図しないコード変更が実稼動環境で発生するリスクをなくすことができます。例えば、OSGi 設定は、AEM Web コンソールの設定マネージャーを使用して実行時に管理されるのではなく、ソース管理にコミットする必要があります。
デプロイメントパターンによるアプリケーション変更はスイッチで有効になるので、サービスユーザー、ACL、ノードタイプ、インデックス定義の変更を除き、可変リポジトリ内の変更に依存することはできません。
既存のコードベースをお持ちのお客様は、AEM ドキュメントに記載されているリポジトリー再構築の演習を完了して、以前 /etc の配下にあったコンテンツが適切な場所に確実に移動されるようにすることが重要です。
これらのコードパッケージには、いくつかの追加の制限が適用されます。例えば、インストールフックはサポートされません。
OSGi 設定
前述のように、OSGi 設定は Web コンソールを通じて管理するのではなく、ソース管理にコミットする必要があります。そのための手法は次のとおりです。
- AEM Web コンソールの Configuration Manager を使用して開発者のローカル AEM 環境に必要な変更を加えた後、その結果をローカルファイルシステム上の AEM プロジェクトに書き出す。
- ローカルファイルシステム上の AEM プロジェクトに OSGi 設定を手動で作成した後、AEM コンソールの Configuration Manager でプロパティ名を参照する。
OSGI の設定について詳しくは、AEM as a Cloud Service の OSGi の設定を参照してください。
可変コンテンツ
場合によっては、環境が更新されるたびに Cloud Manager でデプロイできるように、ソース管理でコンテンツの変更を準備すると便利なことがあります。例えば、特定のルートフォルダー構造をシードするのが妥当な場合があります。または、変更を編集可能なテンプレートに並べて、アプリケーションのデプロイメントによって更新されたポリシーコンポーネントを有効にします。
Cloud Manager で可変リポジトリにデプロイされるコンテンツ、可変コンテンツパッケージ、 repoinit
ステートメントを記述する戦略は 2 通りあります。
可変コンテンツパッケージ
フォルダーパス階層、サービスユーザー、アクセス制御(ACL)などのコンテンツは、通常、Maven アーキタイプベースの AEM プロジェクトにコミットされます。使用される手法には、AEM からの書き出し、または XML 形式での直接書き込みがあります。ビルドおよびデプロイメントプロセス中に、Cloud Manager は、生成された可変コンテンツパッケージをパッケージ化します。可変コンテンツは、パイプラインのデプロイフェーズで次の 3 回の異なるタイミングでインストールされます。
新しいバージョンのアプリケーションの起動前:
- インデックス定義(追加、変更、削除)
新しいバージョンのアプリケーションの起動中(切り替えの前):
- サービスユーザー(追加)
- サービスユーザー ACL(追加)
- ノードタイプ(追加)
新しいバージョンのアプリケーションへの切り替え後:
-
Jackrabbit Vault を使用して定義可能なその他のすべてのコンテンツ。例:
- フォルダー(追加、変更、削除)
- 編集可能なテンプレート(追加、変更、削除)
- コンテキスト対応の設定(
/conf
配下のあらゆるもの)(追加、変更、削除) - スクリプト(パッケージは、パッケージのインストールプロセスの様々な段階でインストールフックをトリガーできます)インストールフックについては、Jackrabbit FileVault のドキュメントを参照してください。AEM as a Cloud Service では現在、FileVault バージョン 3.4.0 を使用しています(インストールフックの使用は管理者ユーザー、システムユーザー、管理者グループのメンバーに限定されています)。
/apps
配下の install.author フォルダーまたは install.publish フォルダーにパッケージを埋め込むことで、可変コンテンツのインストールをオーサーまたはパブリッシュのみに制限することができます。この分離を反映する再構築は AEM 6.5 で行われました。推奨されるプロジェクト再構築について詳しくは、AEM 6.5 のドキュメントを参照してください。
また、可変コンテンツパッケージの変更を適用後にロールバックする仕組みはありません。問題を検出した場合は、次回のコードリリースで修正するか、最後の手段としてシステム全体をデプロイメント前の時点に復元するかを選択できます。
サードパーティパッケージが含まれている場合は、それらが AEM as a Cloud と互換性があるかどうかを検証する必要があります。互換性がない場合は、それらのパッケージを組み込むとデプロイメントに失敗します。
前述のように、コードベースが既にある場合は、AEM 6.5 のドキュメントに記載されている 6.5 リポジトリの変更に伴うリポジトリ再構築演習に準拠する必要があります。
repoinit
次の場合は、OSGi ファクトリ設定で明示的なコンテンツ作成用の repoinit
ステートメントを手動でコーディングするアプローチを取ることをお勧めします。
-
サービスユーザーの作成/削除/無効化
-
グループの作成/削除
-
ユーザーの作成/削除
-
ACL の追加
メモ
ACL の定義では、ノード構造が既に存在する必要があります。そのため、先行するパス作成ステートメントが必要になる場合があります。 -
パスの追加(例えば、ルートフォルダー構造用)
-
CND の追加(ノードタイプ定義)
次の利点があるので、サポートされているこれらのコンテンツ変更使用例には、repoinit の使用をお勧めします。
Repoinit
では、起動時にリソースを作成して、それらのリソースの存在を前提としたロジックが可能になるようにします。可変コンテンツパッケージのアプローチでは、リソースは起動後に作成されるので、リソースを利用したアプリケーションコードは失敗する可能性があります。- 実行されるアクションを明示的に制御するので、
Repoinit
は比較的安全な命令セットです。また、ユーザー、サービスユーザー、グループの削除が可能なセキュリティ関連のいくつかの場合を除き、追加的な操作のみサポートされています。これに対して、可変コンテンツパッケージのアプローチでは、何かの削除は明示的な操作になります。つまり、フィルターを定義すると、フィルターの適用対象となるすべてのものが削除されます。しかし、どのようなコンテンツでも、新しいコンテンツの存在でアプリケーションの動作が変わる可能性があるシナリオが考えられるので、やはり注意が必要です。 Repoinit
は高速かつアトミックな操作を実行します。これに対して、可変コンテンツパッケージでは、フィルターの適用対象となる構造によってパフォーマンスが大きく左右される場合があります。1 つのノードだけを更新した場合でも、大きなツリーのスナップショットが作成される可能性があります。repoinit
ステートメントは OSGi 設定が登録されると実行されるので、ローカル開発環境で実行時に repoinit ステートメントを検証できます。Repoinit
ステートメントはアトミックかつ明示的で、状態が既に一致している場合はスキップされます。
Cloud Manager がアプリケーションをデプロイすると、コンテンツパッケージのインストールとは無関係に、これらのステートメントが実行されます。
repoinit
ステートメントを作成するには、次の手順に従います。
- ファクトリ PID の OSGi 設定
org.apache.sling.jcr.repoinit.RepositoryInitializer
をプロジェクトの設定フォルダーに追加します。設定には、org.apache.sling.jcr.repoint.RepositoryInitializer~initstructure など、わかりやすい名前を付けます。 - 設定のスクリプトプロパティに
repoinit
ステートメントを追加します。構文とオプションについては、 Sling のドキュメント を参照してください。子フォルダーの前に親フォルダーを明示的に作成する必要があります。例えば、/content
を明示的に作成してから/content/myfolder
を作成し、その後に/content/myfolder/mysubfolder
を作成します。ACL を下位レベルの構造に設定する場合は、ACL を上位レベルに設定し、rep:glob
制限を適用することをお勧めします。例:(allow jcr:read on /apps restriction(rep:glob,/msm/wcm/rolloutconfigs))
- 実行時にローカル開発環境で検証します。
/apps
または /libs
の下位ノードに定義された場合、repoinit
の実行は空のリポジトリで開始されます。repoinit
の実行後にパッケージがインストールされるので、ステートメントでは、パッケージ内で定義されたものを使用できませんが、親構造などの前提条件を定義する必要があります。rep:glob
制限によって動作する場所を制限する方が合理的です。repoinit
について詳しくは、Sling のドキュメントを参照してください