Cloud Manager でプロジェクトを管理およびデプロイできるようにプロジェクトを設定する方法について説明します。
既存の AEM プロジェクトは、Cloud Manager で正常にビルドおよびデプロイするために、いくつかの基本ルールに従う必要があります。
pom.xml
ファイルが必要です。
pom.xml
ファイルでは、必要な数のサブモジュール(その中にさらに他のサブモジュールを含む場合があります)を参照できます。pom.xml
ファイルに追加できます。target
という名前のディレクトリに含まれているコンテンツパッケージ .zip ファイルをスキャンすることで検出されます。
conf
および conf.d
という名前の target
のサブディレクトリに含まれている zip
ファイルをスキャンすることで検出されます。ごく一部のケースでは、開発用ワークステーションで実行する場合とは異なり、Cloud Manager 内で実行する場合にはビルドプロセスを少し変える必要が出ることもあります。この場合は、Maven プロファイルを使用して、Cloud Manager を含む環境ごとのビルドの違いを定義できます。
Cloud Manager ビルド環境内の Maven プロファイルのアクティベーションは、CM_BUILD
環境変数があるかどうかを調べて行う必要があります。逆に、Cloud Manager ビルド環境以外でのみ使用するためのプロファイルは、この変数がないかどうかを調べることでアクティブ化する必要があります。
例えば、Cloud Manager 内でビルドが実行されたときにのみ簡単なメッセージを出力する場合は、次のようにします。
<profile>
<id>cmBuild</id>
<activation>
<property>
<name>env.CM_BUILD</name>
</property>
</activation>
<build>
<plugins>
<plugin>
<artifactId>maven-antrun-plugin</artifactId>
<version>1.8</version>
<executions>
<execution>
<phase>initialize</phase>
<configuration>
<target>
<echo>I'm running inside Cloud Manager!</echo>
</target>
</configuration>
<goals>
<goal>run</goal>
</goals>
</execution>
</executions>
</plugin>
</plugins>
</build>
</profile>
開発用ワークステーションでこのプロファイルをテストするには、(-PcmBuild
を付けた)コマンドラインまたは統合開発環境(IDE)でプロファイルを有効にします。
Cloud Manager 以外でビルドが実行されたときにのみ簡単なメッセージを出力する場合は、次のようにします。
<profile>
<id>notCMBuild</id>
<activation>
<property>
<name>!env.CM_BUILD</name>
</property>
</activation>
<build>
<plugins>
<plugin>
<artifactId>maven-antrun-plugin</artifactId>
<version>1.8</version>
<executions>
<execution>
<phase>initialize</phase>
<configuration>
<target>
<echo>I'm running outside Cloud Manager!</echo>
</target>
</configuration>
<goals>
<goal>run</goal>
</goals>
</execution>
</executions>
</plugin>
</plugins>
</build>
</profile>
パスワードで保護された Maven リポジトリのアーティファクトは、慎重に使用してください。このメカニズムを通じてデプロイされるコードが、Cloud Manager の品質ゲートに実装されているすべての品質ルールを通じて実行されるわけではないからです。バイナリと共に Java ソースおよびプロジェクトのソースコード全体もデプロイすることをお勧めします。
パスワードで保護された Maven リポジトリのアーティファクトは、使用されることはまれです。AEM に関連付けられていないコードに対してのみ使用してください。
パスワードで保護された Maven リポジトリを Cloud Manager から使用するには、パスワード(および任意でユーザー名)を秘密のパイプライン変数として指定し、Git リポジトリの .cloudmanager/maven/settings.xml
という名前のファイル内でそのシークレットを参照します。このファイルは、Maven 設定ファイルスキーマに従います。
Cloud Manager のビルドプロセスが開始すると、このファイル内の <servers>
要素が、Cloud Manager から提供されるデフォルトの settings.xml
ファイルに結合されます。adobe
と cloud-manager
で始まるサーバー ID は予約済みと見なされるため、カスタムサーバーでは使用しないでください。これらのプレフィックスのいずれかまたはデフォルト ID central
に一致しないサーバー ID は Cloud Manager でミラーリングされません。
このファイルを配置すると、サーバー ID は pom.xml
ファイル内の <repository>
要素や <pluginRepository>
要素内から参照されます。一般に、これらの <repository>
要素や <pluginRepository>
要素は、Cloud Manager 固有のプロファイルに含まれていますが、厳密には必要ありません。
例えば、リポジトリが https://repository.myco.com/maven2
にあり、Cloud Manager が使用するユーザー名が cloudmanager
で、パスワードが secretword
だとします。
まず、パスワードをパイプライン上の秘密として設定します。
$ aio cloudmanager:set-pipeline-variables PIPELINEID --secret CUSTOM_MYCO_REPOSITORY_PASSWORD secretword
次に、.cloudmanager/maven/settings.xml
ファイルからこれを参照します。
<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>
<settings xmlns="http://maven.apache.org/SETTINGS/1.0.0" xmlns:xsi="http://www.w3.org/2001/XMLSchema-instance"
xsi:schemaLocation="http://maven.apache.org/SETTINGS/1.0.0 http://maven.apache.org/xsd/settings-1.0.0.xsd">
<servers>
<server>
<id>myco-repository</id>
<username>cloudmanager</username>
<password>${env.CUSTOM_MYCO_REPOSITORY_PASSWORD}</password>
</server>
</servers>
</settings>
最後に、pom.xml
ファイル内のサーバー ID を参照します。
<profiles>
<profile>
<id>cmBuild</id>
<activation>
<property>
<name>env.CM_BUILD</name>
</property>
</activation>
<build>
<repositories>
<repository>
<id>myco-repository</id>
<name>MyCo Releases</name>
<url>https://repository.myco.com/maven2</url>
<snapshots>
<enabled>false</enabled>
</snapshots>
<releases>
<enabled>true</enabled>
</releases>
</repository>
</repositories>
<pluginRepositories>
<pluginRepository>
<id>myco-repository</id>
<name>MyCo Releases</name>
<url>https://repository.myco.com/maven2</url>
<snapshots>
<enabled>false</enabled>
</snapshots>
<releases>
<enabled>true</enabled>
</releases>
</pluginRepository>
</pluginRepositories>
</build>
</profile>
</profiles>
バイナリと共に Java ソースを Maven リポジトリにデプロイすることをお勧めします。
プロジェクトで maven-source-plugin
を設定します。
<plugin>
<groupId>org.apache.maven.plugins</groupId>
<artifactId>maven-source-plugin</artifactId>
<executions>
<execution>
<id>attach-sources</id>
<goals>
<goal>jar-no-fork</goal>
</goals>
</execution>
</executions>
</plugin>
バイナリと共にプロジェクトソース全体を Maven リポジトリにデプロイすることをお勧めします。これにより、正確なアーティファクトを再ビルドできます。
プロジェクトで maven-assembly-plugin
を設定します。
<plugin>
<groupId>org.apache.maven.plugins</groupId>
<artifactId>maven-assembly-plugin</artifactId>
<executions>
<execution>
<id>project-assembly</id>
<phase>package</phase>
<goals>
<goal>single</goal>
</goals>
<configuration>
<descriptorRefs>
<descriptorRef>project</descriptorRef>
</descriptorRefs>
</configuration>
</execution>
</executions>
</plugin>
Cloud Manager では、ビルドは、任意の数のコンテンツパッケージを作成できます。様々な理由により、コンテンツパッケージを作成してもデプロイしないことが望ましい場合があります。例えば、テストのみに使用するコンテンツパッケージを作成する場合や、ビルドプロセスの別のステップで(つまり、別のパッケージのサブパッケージとして)再パッケージ化される場合に便利です。
これらのシナリオに対応するために、Cloud Manager は、ビルドされたコンテンツパッケージのプロパティで、cloudManagerTarget
という名前のプロパティを探します。このプロパティが none
に設定されている場合、パッケージはスキップされ、デプロイされません。このプロパティを設定する仕組みは、ビルドがコンテンツパッケージを作成する方法によって異なります。例えば、filevault-maven-plugin
でプラグインを設定する場合は、次のようになります。
<plugin>
<groupId>org.apache.jackrabbit</groupId>
<artifactId>filevault-package-maven-plugin</artifactId>
<extensions>true</extensions>
<configuration>
<properties>
<cloudManagerTarget>none</cloudManagerTarget>
</properties>
<!-- other configuration -->
</configuration>
</plugin>
content-package-maven-plugin
の場合は、次のようになります。
<plugin>
<groupId>com.day.jcr.vault</groupId>
<artifactId>content-package-maven-plugin</artifactId>
<extensions>true</extensions>
<configuration>
<properties>
<cloudManagerTarget>none</cloudManagerTarget>
</properties>
<!-- other configuration -->
</configuration>
</plugin>
多くの場合、同じコードが複数の AEM 環境にデプロイされます。Cloud Manager は、複数のフルスタックパイプライン実行で同じ Git コミットが使用されていることを検出した場合、コードベースの再ビルドを可能な限り避けます。
実行が開始されると、ブランチパイプラインの現在の HEAD コミットが抽出されます。コミットハッシュは、UI に表示され、API を使用して確認できます。ビルドステップが正常に完了すると、結果として生成されたアーティファクトはそのコミットハッシュに基づいて保存され、後続のパイプライン実行で再利用できます。
同じプログラム内にあるパッケージは、パイプラインをまたいで再利用されます。再利用可能なパッケージを探す際に、AEM はブランチを無視し、ブランチをまたいでアーティファクトを再利用します。
再利用が行われると、ビルドステップとコード品質ステップが元の実行の結果に事実上置き換えられます。ビルドステップのログファイルには、アーティファクトと、最初にアーティファクトのビルドに使用された実行情報が一覧表示されます。
そのようなログ出力の例を次に示します。
The following build artifacts were reused from the prior execution 4 of pipeline 1 which used commit f6ac5e6943ba8bce8804086241ba28bd94909aef:
build/aem-guides-wknd.all-2021.1216.1101633.0000884042.zip (content-package)
build/aem-guides-wknd.dispatcher.cloud-2021.1216.1101633.0000884042.zip (dispatcher-configuration)
コード品質ステップのログにも、類似の情報が含まれます。
プログラムに 2 つの開発パイプラインがあるとします。
foo
のパイプライン 1bar
のパイプライン 2両方のブランチが同じコミット ID 上にあります。
プログラムには次の 2 つのブランチがあるとします。
foo
bar
両方のブランチのコミット ID が同じです。
foo
のビルドと実行をおこないます。bar
をビルドおよび実行します。この場合、同じコミットハッシュが特定されたので、foo
のアーティファクトは実稼動パイプラインで再利用されます。
必要に応じて、パイプライン変数 CM_DISABLE_BUILD_REUSE
を true
に設定して、特定のパイプラインに対して再利用動作を無効にできます。この変数を設定した場合でも、コミットハッシュは抽出され、結果として生成されたアーティファクトは後で使用するために保存されますが、以前に保存されたアーティファクトは再利用されません。この動作を理解するために、次のシナリオについて考えてみます。
becdddb
となっています。実行が完了すると、結果として生成されたアーティファクトが保存されます。CM_DISABLE_BUILD_REUSE
変数が設定されます。becdddb
に関連付けられたアーティファクトが保存されていますが、CM_DISABLE_BUILD_REUSE
変数が設定されているので再利用されません。f6ac5e6
になります。実行が完了すると、結果として生成されたアーティファクトが保存されます。CM_DISABLE_BUILD_REUSE
変数が削除されます。f6ac5e6
に関連付けられたアーティファクトが保存されているため、それらのアーティファクトは再利用されます。CM_DISABLE_BUILD_REUSE
以外のパイプライン変数は考慮されません。アドビのエンジニアリングおよびコンサルティングチームは、AEM 開発者向けの包括的なベストプラクティスを策定しました。