MSM は、コンテンツのデプロイメントを自動化するための設定可能なフレームワークです。多くの場合、実装は Web サイトの主要な部分に影響を及ぼし、複数の組織や地域にわたって行われます。そのため、Web サイトの計画時と同様に、最大限の注意を払って MSM の実装を計画することを強くお勧めします。
実装を開始する前に、入念に構造およびコンテンツのフローを計画してください。
ライブコピーの量を最小限に抑えます。 ライブコピーの処理はリソースを大量に消費するタスクです。システム内に存在するライブコピーが多いほど、パフォーマンスに影響を与える可能性があります。内部ライブコピーインデックスの処理から、ロールアウトなどのライブコピー操作、Sites 管理者の参照パネルにライブコピーの関係を表示するなどの UI 操作に至ります。サイトまたはサイトのブランチのライブコピーを作成し、ライブコピーの関係がサイトまたはブランチのページに継承されるようにすることがベストプラクティスです。構造全体をライブコピーすることができる場合は、サイトやブランチ内のページに対して個別のライブコピーを作成しないでください。
最小限必要なカスタマイズだけを行ってください。 MSM では高度なカスタマイズ(ロールアウト設定など)がサポートされていますが、通常はカスタマイズを最小限に抑えることが web サイトのパフォーマンス、信頼性、アップグレード可能性を確保するためのベストプラクティスです。
ガバナンスモデルを早期に確立し、成功に導くための適切なユーザートレーニングを実施してください。多くの場合、ガバナンスの観点から見たベストプラクティスは、ローカルのコンテンツプロデューサーの権限を最小限に抑え、コンテンツを他のローカルユーザーやそれぞれのライブコピーに分散および接続することです。継承の連鎖が管理されていないと、MSM の構造がより複雑になり、パフォーマンスと信頼性が損なわれる可能性があるからです。
構造、コンテンツフロー、自動化、ガバナンスの計画を立てた後は、システムのプロトタイプを作成してテストを十分に行ってから、本番の実装を開始してください。
MSM を使用したコンテンツ自動化の計画および実装の経験が豊富なアドビのコンサルティングと一流のシステムインテグレーターが MSM プロジェクトの導入や実装全般を支援します。
MSM での作業に関するその他の情報については、ナレッジベースの記事を参照してください。
ライブコピーは通常のページまたはブループリント設定を使用して作成できます。どちらも有効なソースです。
ブループリント設定を使用する追加の利点は次のとおりです。
ブループリント設定が参照されない場合、ロールアウトはライブコピー自体からのみ開始でき、基本的にはソースからコンテンツを引っ張ってきます。
ライブコピーで新しいサイトを作成する際には、ブループリント設定を作成して MSM のすべての機能セットを使用可能にすると便利です。
[注意!]
「権限」タブの CUG をブループリントからライブコピーにロールアウトすることはできません。ライブコピーを設定する際には、この点を考慮してください。
一般に、コンポーネントの同期に関する MSM のロールアウトルールは、次のとおりです。
これは、コンポーネントが集計として扱われ、ロールアウトでは、コンポーネント自体およびそのすべての子がブループリントのものと置き換えられることを意味します。これは、リソースがそのようなコンポーネントにローカルで追加されると、ロールアウト時にブループリントのコンテンツでなくなることを意味します。
コンポーネントのネストをサポートするには、そうしたローカルで追加されたコンポーネントがロールアウトで維持され、そのコンポーネントがコンテナとして宣言される必要があります。例えば、デフォルトの parsys がコンテナとして宣言されるので、ローカルで追加されたコンテンツをサポートできます。
プロパティ cq:isContainer
をコンポーネントに追加し、コンテナとして指定します。
AEM でライブコピーを作成する方法は、主に次の 2 つです。
これは、より一般的なアプローチであり、任意のページからライブコピーを作成できます。ライブコピーのコンテンツ構造はソースと完全に一致します。
これは、主に多言語構造を持つ web サイトを作成するための、より専門的なアプローチです。
サイトを作成する際に留意する点のいくつかを次に示します。
新しいサイトを作成するには、ブループリント設定が必要です。
新しいサイトに作成する言語のパスの選択を許可するには、対応する言語ルートがブループリント(ソース)内に存在する必要があります。
新しいサイトをライブコピーとして作成(作成を使用し、その後サイトを使用)すると、そのライブコピーの最初の 2 つのレベルはシャローになります。ページの子はライブ関係には属しませんが、トリガーに一致するライブ関係が見つかった場合には引き続きロールアウトが引き継がれます。
次のことがおこなわれるのを防ぎます。
MSM は、次の 2 つの方法で多言語 Web サイトを作成するために役立ちます。
言語マスターの作成時
MSM 自体にコンテンツ翻訳機能は備わっていませんが、翻訳に対応したサードパーティの翻訳コネクタと統合できます。次の点に留意してください。
MSM では、ページレベルまたはコンポーネントレベルで継承をキャンセルできます。これにより、次回ロールアウト時にライブコピーの翻訳済みコンテンツがブループリントの未翻訳コンテンツで上書きされるのを防止できます。
一部のサードパーティの翻訳コネクタでは、この MSM の継承の管理が自動化されます。
詳しくは、翻訳サービスプロバイダーにお問い合わせください。
言語マスターを作成して翻訳する代わりに、言語コピーを AEM の標準翻訳統合フレームワークと組み合わせて使用することもできます。
言語マスターからのコンテンツのロールアウト時
詳しくは、多言語サイトのコンテンツの翻訳および翻訳のベストプラクティスを参照してください。
ブループリントやソースツリー内のコンテンツ構造の変更は、ライブコピーへの反映のされ方が異なります。これは、変更の内容によって変わります。
ブループリントに新しいページを作成すると、標準のロールアウト設定を使用したロールアウト後に、対応するページがライブコピーに作成されます。
ブループリント内のページを削除すると、標準のロールアウト設定を使用したロールアウト後に、対応するページがライブコピーから削除されます。
ブループリント内のページを移動しても、標準のロールアウト設定を使用したロールアウト後に、ライブコピー内の対応するページは移動しません。
これはロールアウト時のトリガーでのみ動作します。
カスタムロールアウト設定を作成します。
この新しい設定には、 アクションを含める必要があります。
PageMoveAction
この設定に他のアクションを追加しないでください。
新しい設定を配置します。
ページ移動を完全にロールアウトするときに、ライブコピー内の各ページをそれぞれ古い場所から削除する場合:
新規に作成した設定を標準ロールアウト設定の前に配置します。
古い場所にあるページは、標準ロールアウト設定に基づいて削除されます。
ページ移動をロールアウトするときに、ライブコピー内の各ページを古い場所に維持する場合(つまりコンテンツを複製する):
新規に作成した設定を標準ロールアウト設定の後に配置します。
これにより、ライブコピー内のコンテンツが削除されたり、発行からアクティベート解除されたりすることはありません。
MSM のロールアウト設定は高度なカスタマイズが可能です。ロールアウトの自動化は広範囲に影響を及ぼす場合があります。ベストプラクティスとして、次のような場合はきわめて慎重に事前計画を立てるようにしてください。
ロールアウトトリガー onModify
を使用する際には、次の点に留意してください。
onModify
トリガーを使用したロールアウトの自動化は、オーサリングのパフォーマンスに悪影響を及ぼす場合があります。これは、ページ変更のたびにロールアウトがトリガーされるためです。
ロールアウト結果は、次のように予想に反する場合があります。
このようなロールアウト設定を使用すると、同じリソースの同時更新が発生した場合にコミットが競合する可能性があります。
そのため、onModify
トリガーは、発生する可能性があるパフォーマンス問題よりも自動ロールアウトのメリットの方が大きい場合にのみ使用することをお勧めします。
次のことに留意してください。
これに関連する問題について、このページと後続のページで説明します。