レポートの開発 developing-reports

Adobe Experience Manager(AEM)には、レポートフレームワークに基づ様々な標準レポートが用意されています。

このフレームワークを使用すると、それらの標準レポートを拡張することも、独自の新しいレポートを作成することもできます。レポートフレームワークは、既存の CQ5 の概念や原則と緊密に統合されているので、開発者は CQ5 に関する既存の知識を、レポート開発の出発点として活用できます。

AEM に用意されている標準レポートの特徴:

NOTE
独自のレポートの作成 - 例のチュートリアルでも、以下で説明している使用可能な原則の種類を示しています。
標準レポートを参照し、他の実装例を確認することもできます。
NOTE
以下の例と定義で使用している表記は次のとおりです。
  • 各行では、次のようにノードまたはプロパティを定義しています。
    N:<name> [<nodeType>] :名前が <*name*> でノードタイプが <*nodeType*>のノードを表します。
    P:<name> [<propertyType] :名前が <*name*> でプロパティタイプが <*propertyType*> のプロパティを表します。
    P:<name> = <value> :プロパティ <name> に値 <value> を設定する必要があることを表します。

  • インデントは、ノード間の階層的依存関係を示します。

  • | で区切られた項目は、タイプや名前など、指定可能な項目のリストを示します。例えば String|String[] は、プロパティに String または String [] を指定できることを示します。

  • [] は配列を示します。例えば String[] や、クエリ定義で説明しているノードの配列などがあります。

特に指定のない限り、デフォルトのタイプは次のようになります。
  • ノード - nt:unstructured
  • プロパティ - String

レポートフレームワーク reporting-framework

レポートフレームワークは、次のような原則に従って動作します。

  • これは、CQ5 QueryBuilder が実行するクエリによって返される結果セットに、完全に基づいています。

  • 結果セットは、レポートに表示するデータを定義します。結果セットの各行は、レポートの表形式表示の行に対応しています。

  • 結果セットに対して実行できる操作は RDBMS の概念に似ており、主に グループ化 ​と​ 集約 ​です。

  • ほとんどのデータの取得と処理は、サーバーサイドで行われます。

  • クライアント側では、事前に処理されたデータの表示のみが行われます。小規模な処理タスク(セルコンテンツ内のリンクの作成など)のみが、クライアントサイドで実行されます。

レポートフレームワーク(標準レポートの構造で示される)は、処理キューによって提供される次の構築ブロックを使用します。

chlimage_1-248

レポートページ report-page

レポートページの特徴は以下のとおりです。

レポートベース report-base

reportbase コンポーネントは、すべてのレポートの基礎となるもので、以下のような特徴があります。

  • 基になる結果セットのデータを提供するクエリの定義を保持します。

  • レポートに追加されたすべての列(columnbase)を含む適応可能な段落システムです。

  • 使用可能なチャートタイプと、現在アクティブなチャートタイプを定義します。

  • 編集ダイアログボックスを定義します。このダイアログボックスでは、レポートの特定のデザインを設定できます。

列ベース column-base

各列は、columnbase コンポーネントのインスタンスであり、次のような特徴があります。

  • 各レポートの parsys(reportbase)で使用される段落です。
  • 基となる結果セットへのリンクを定義します。つまり、この結果セット内で参照される特定のデータとその処理方法を定義します。
  • 使用可能な集約やフィルターなどといった追加の定義のほか、デフォルト値も保持します。

クエリとデータの取得 the-query-and-data-retrieval

クエリ:

  • reportbase コンポーネントの一部として定義されます。

  • CQ QueryBuilder に基づいています。

  • レポートの基本要素として使用するデータを取得します。結果セット(テーブル)の各行が、ノードに 1 つずつ関連付けられ、クエリから返されます。それぞれの列の具体的な情報はこのデータセットから抽出されます。

  • 通常、次で構成されます。

    • ルートパス。

      これにより、検索対象とするリポジトリのサブツリーを指定します。

      パフォーマンスへの影響を減らすため、クエリの対象をなるべくリポジトリの特定のサブツリーに制限することをお勧めします。このルートパスは、レポートテンプレートで事前定義するか、設定(編集)ダイアログボックスでユーザーが設定することができます。

    • 1 つまたは複数の条件

      これらは、(最初の)結果セットの生成に適用されます。例えば、ノードタイプの制限や、プロパティの制限などがあります。

重要な点は、クエリの結果セットに返されるノードを 1 つ使用して、レポートの行が 1 つ生成される(ノードと行は 1 対 1 の関係にある)ことです。

開発者は、レポートに対して定義したクエリによって、そのレポートに適切なノードセットが返されることを確認する必要があります。ただし、必要な情報をノード自体がすべて保持する必要はありません。親ノードや子ノードから導き出すこともできます。例えば、ユーザーレポートで使用するクエリでは、ノードタイプ(この場合は rep:user)に基づいてノードを選択します。ただし、このレポートのほとんどの列は、これらのノードから直接データを取り出すのではなく、子ノードの profile からデータを取り出します。

処理キュー processing-queue

クエリによって返される結果セットのデータが、レポート上で行として表示されます。結果セットの各行は、(サーバーサイドの)いくつかのフェーズで処理されてから、クライアントに転送されてレポートに表示されます。

次のような操作が可能です。

  • 基になる結果セットから値を抽出したり導き出したりします。

    例えば、2 つのプロパティ値の差を計算することで、2 つの値を 1 つの値として処理できます。

  • 抽出した値の解決。様々な方法で行うことができます。

    例えば、パスをタイトル(対応する jcr:title プロパティにある、人間が読み取れるコンテンツ)にマッピングできます。

  • 様々なポイントでフィルターを適用します。

  • 必要に応じて、複合値を作成します。

    例えば、ユーザーに表示するテキスト、ソートに使用する値、リンクの作成(クライアントサイドで)に使用する追加の URL で構成されます。

処理キューのワークフロー workflow-of-the-processing-queue

処理キューのワークフローを次に示します。

chlimage_1-249

処理キューのフェーズ phases-of-the-processing-queue

具体的な手順と要素は次の通りです。

  1. 値抽出を使用して、初期クエリ(reportbase)から返された結果を、基になる結果セットに変換します。

    値抽出は、列のタイプに基づいて自動的に選択されます。値抽出を使用して、基になる JCR クエリから値を読み取り、その値から結果セットを作成し、その後の処理で適用できるようにします。例えば diff タイプの場合、値抽出では 2 つのプロパティを読み取り、単一の値を計算して結果セットに追加します。値抽出は設定できません。

  2. 生データを含むこの初期結果セットに、初期フィルタリングraw フェーズ)が適用されます。

  3. 適用 ​フェーズの定義に従い、値が前処理されます。

  4. 前処理された値に対して、フィルタリング前処理 ​フェーズに割り当てられている)が実行されます。

  5. 定義されたリゾルバーによって、値が解決されます。

  6. 解決された値に対して、フィルタリング解決 ​フェーズに割り当てられている)が実行されます。

  7. データはグループ化および集計済です。

  8. 配列データは、リスト(文字列ベース)に変換することで解決されます。

    これは、複数の値を持つ結果をリストに変換して表示できるようにする暗黙の手順です。複数の値を持つ JCR プロパティに基づいたセル値(未集計)が必要です。

  9. afterApply フェーズの定義に従い、値が再度前処理されます。

  10. データが並べ替えられます。

  11. 処理されたデータはクライアントに転送されます。

NOTE
基になるデータの結果セットを返す初期クエリは、reportbase コンポーネントで定義されます。
処理キューの他の要素は、columnbase コンポーネントで定義されます。

レポートの作成と設定 report-construction-and-configuration

レポートを作成して設定するには、以下が必要です。

レポートコンポーネントの場所 location-of-report-components

デフォルトのレポートコンポーネントは、/libs/cq/reporting/components の下に保持されます。

ただし、これらのノードをアップデートしないことをお勧めします。独自のコンポーネントノードの作成場所は /apps/cq/reporting/components の下か、/apps/<yourProject>/reports/components の下がより適切です。

場所(一例として):

N:apps
    N:cq [nt:folder]
        N:reporting|reports [sling:Folder]
            N:components [sling:Folder]

この下にレポートのルートを作成し、その下にレポートベースコンポーネントおよび列ベースコンポーネントを作成します。

N:apps
    N:cq [nt:folder]
        N:reporting|reports [sling:Folder]
            N:components [sling:Folder]
                N:<reportname> [sling:Folder]
                        N:<reportname> [cq:Component]  // report base component
                        N:<columnname> [cq:Component]  // column base component

ページコンポーネント page-component

レポートページには、/libs/cq/reporting/components/reportpagesling:resourceType を使用する必要があります。

ページコンポーネントのカスタマイズは、(ほとんどの場合)必要ありません。

レポートベースコンポーネント report-base-component

レポートタイプごとに、/libs/cq/reporting/components/reportbase からコンテナコンポーネントを取得する必要があります。

このコンポーネントは、レポート全体のコンテナとして使用され、以下の情報が含まれます。

N:<reportname> [cq:Component]
    P:sling:resourceSuperType = "cq/reporting/components/reportbase"
    N:charting
    N:dialog [cq:Dialog]
    N:queryBuilder

クエリ定義 query-definition

N:queryBuilder
    N:propertyConstraints
    [
        N:<name> // array of nodes (name irrelevant), each with the following properties:
            P:name
            P:value
    ]
    P:nodeTypes [String|String[]]
    P:mandatoryProperties [String|String[]
  ]
  • propertyConstraints

    特定のプロパティが特定の値のノードのみを結果セットに含めます。複数の制限が指定された場合、ノードはこれらすべてを満たす(AND 演算による)必要があります。

    例:

    code language-none
    N:propertyConstraints
     [
     N:0
     P:sling:resourceType
     P:foundation/components/textimage
     N:1
     P:jcr:modifiedBy
     P:admin
     ]
    

    admin ユーザーによって最終的な変更が加えられた、すべての textimage コンポーネント を返します。

  • nodeTypes

    指定したノードタイプのみを結果セットに含める場合に使用します。複数のノードタイプを指定できます。

  • mandatoryProperties

    指定したプロパティを​ すべて ​持つノードのみを、結果セットに含めます。プロパティの値は考慮されません。

すべてはオプションであり、必要に応じて組み合わせることができますが、少なくともそのうちの 1 つを定義する必要があります。

チャート定義 chart-definitions

N:charting
    N:settings
        N:active [cq:WidgetCollection]
        [
            N:<name> // array of nodes, each with the following property
                P:id   // must match the id of a child node of definitions
        ]
    N:definitions [cq:WidgetCollection]
    [
        N:<name> // array of nodes, each with the following properties
            P:id
            P:type
            // additional, chart type specific configurations
    ]
  • settings

    アクティブなチャートについての定義を保持します。

    • active

      複数の設定を定義できるので、これを使用してどれが現在アクティブなものかを定義できます。これらはノードの配列によって定義されます(これらのノードには強制的な命名規則はありませんが、標準レポートでは通常、01x が使用されます)。各ノードには次のプロパティが含まれます。

      • id

        アクティブなチャートの ID。チャート(definitions)のいずれかの ID に一致する必要があります。

  • definitions

    レポートでの使用が可能なチャートタイプを定義します。使用する definitions が、active の設定で指定されます。

    この定義はノードの配列(通常は 01x と命名)を使用して指定され、各ノードには次のプロパティが含まれています。

    • id

      チャートの ID。

    • type

      使用できるグラフのタイプ。次から選択します。

      • pie 円グラフ。現在のデータのみから生成されます。

      • lineseries
        折れ線グラフ(実際のスナップショットを表す点をつないだもの)履歴データからのみ生成されます。

    • グラフのタイプに応じて、追加のプロパティを使用できます。

      • グラフタイプが pie の場合:

        • maxRadiusDouble/Long

          円グラフで許容される最大半径。グラフで許容される最大サイズ(凡例を使用しない場合)。fixedRadius が指定されている場合、この値は無視されます。

        • minRadiusDouble/Long

          円グラフで許容される最小半径。fixedRadius が指定されている場合、この値は無視されます。

        • fixedRadiusDouble/Long
          円グラフの半径の固定値を指定します。

      • グラフタイプが lineseries の場合:

        • totalsBoolean

          合計 を示す線を追加表示する場合は、true を指定します。
          デフォルト:false

        • seriesLong

          表示する線(系列)の数。
          デフォルト:9(この値も許容される最大値です)

        • hoverLimitLong

          ポップアップを表示する集計スナップショットの最大数(各水平線に表示され、個別の値を表すドット)。 つまり、ユーザーがグラフの凡例内の個別の値または対応するラベルにマウスオーバーをしたとき。

          デフォルト:35(現在のチャート設定で適用される個別の値が 35 個を超える場合は、ポップアップが表示されません)。

          このほかに、同時表示できるポップアップ数(凡例のテキストにマウスオーバーしたときに表示できる複数のポップアップ)を 10 個までに制限できます。

設定ダイアログ configuration-dialog

各レポートには設定ダイアログを設定でき、ユーザーはレポートの様々なパラメーターを指定できます。このダイアログには、レポートページを開いているときに、「編集」ボタンでアクセスできます。

このダイアログは、標準の CQ ダイアログであり、そのように設定することができます(詳しくは CQ.Dialog を参照してください)。

ダイアログの例を次に示します。

<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>
<jcr:root xmlns:cq="https://www.day.com/jcr/cq/1.0" xmlns:jcr="https://www.jcp.org/jcr/1.0"
    jcr:primaryType="cq:Dialog"
    height="{Long}424">
    <items jcr:primaryType="cq:WidgetCollection">
        <props jcr:primaryType="cq:Panel">
            <items jcr:primaryType="cq:WidgetCollection">
                <title
                    jcr:primaryType="cq:Widget"
                    path="/libs/cq/reporting/components/commons/title.infinity.json"
                    xtype="cqinclude"/>
                <description
                    jcr:primaryType="cq:Widget"
                    path="/libs/cq/reporting/components/commons/description.infinity.json"
                    xtype="cqinclude"/>
                <rootPath
                    jcr:primaryType="cq:Widget"
                    fieldLabel="Root path"
                    name="./report/rootPath"
                    rootPath=""
                    rootTitle="Repository root"
                    xtype="pathfield"/>
                <processing
                    jcr:primaryType="cq:Widget"
                    path="/libs/cq/reporting/components/commons/processing.infinity.json"
                    xtype="cqinclude"/>
                <scheduling
                    jcr:primaryType="cq:Widget"
                    path="/libs/cq/reporting/components/commons/scheduling.infinity.json"
                    xtype="cqinclude"/>
            </items>
        </props>
    </items>
</jcr:root>

いくつかの事前設定されたコンポーネントを使用できます。xtype プロパティに値 cqinclude を指定して、これらのコンポーネントをダイアログで参照できます。

  • title

    /libs/cq/reporting/components/commons/title

    レポートタイトルを定義するテキストフィールド。

  • description

    /libs/cq/reporting/components/commons/description

    レポートの説明を定義するテキスト領域。

  • processing

    /libs/cq/reporting/components/commons/processing

    レポート処理モード(手動/自動でのデータの読み込み)のセレクター。

  • scheduling

    /libs/cq/reporting/components/commons/scheduling

    履歴グラフのスナップショットをスケジュールするためのセレクター。

NOTE
.infinity.json サフィックスを使用して、参照されるコンポーネントを含める必要があります(上記の例を参照)。

ルートパス root-path

このほか、レポートのルートパスを指定することもできます。

  • rootPath

    レポートの対象を、リポジトリの特定のセクション(ツリーまたはサブツリー)に限定できます。パフォーマンスの最適化のために、限定することをお勧めします。このルートパスは、各レポートページの report ノードの rootPath プロパティで指定します(ページを作成するときにテンプレートから取得されます)。

    次の方法で指定できます。

    • レポートテンプレート(固定値または設定ダイアログのデフォルト値として)。
    • ユーザー(このパラメーターを使用)

列ベースコンポーネント column-base-component

各列タイプには、/libs/cq/reporting/components/columnbase から派生したコンポーネントが必要です。

列コンポーネントは、次の組み合わせを定義します。

N:<columnname> [cq:Component]
    P:componentGroup
    P:jcr:title
    P:sling:resourceSuperType = "cq/reporting/components/columnbase"
    N:cq:editConfig [cq:EditConfig] // <a href="#events-and-actions">Events and Actions</a>
    N:defaults // <a href="#column-default-values">Column Default Values</a>
    N:definitions
      N:queryBuilder // <a href="#column-specific-query">Column Specific Query</a>
        P:property [String|String[]] // Column Specific Query
        P:subPath // Column Specific Query
        P:secondaryProperty [String|String[]] // Column Specific Query
        P:secondarySubPath // Column Specific Query
      N:data
        P:clientFilter [String] // <a href="#client-filter">Client Filter</a>
        P:resolver // <a href="#resolvers-and-preprocessing">Resolvers and Preprocessing</a>
        N:resolverConfig // Resolvers and Preprocessing
        N:preprocessing // Resolvers and Preprocessing
      P:type // <a href="#column-specific-definitions">Column Specific Definitions</a>
      P:groupable [Boolean] // Column Specific Definitions
      N:filters [cq:WidgetCollection] // Column Specific Definitions
      N:aggregates [cq:WidgetCollection] // Column Specific Definitions

新規レポートの定義も参照してください。

列固有のクエリ column-specific-query

個々の列で使用するための(レポートデータ結果セットからの)特定のデータ抽出を定義します。

N:definitions
    N:queryBuilder
        P:property [String|String[]]
        P:subPath
        P:secondaryProperty [String|String[]]
        P:secondarySubPath
  • property

    セルの実際の値を計算するために使用するプロパティを定義します。

    プロパティを文字列[]として定義すると、複数のプロパティを(順に)スキャンして実際の値を探します。

    例えば、次のような場合、

    property = [ "jcr:lastModified", "jcr:created" ]

    対応する値の抽出(ここでは制御下にあります)は、次のようになります。

    • jcr:lastModified プロパティが利用可能かどうかをチェックし、利用できる場合はそのプロパティを使用します。
    • 利用可能な jcr:lastModified プロパティがない場合は、代わりに jcr:created のコンテンツを使用します。
  • subPath

    クエリが返すノードに結果がない場合、subPath はプロパティがある場所を定義します。

  • secondaryProperty

    実際のセル値の計算に使用する必要がある 2 番目のプロパティ。この定義は、特定の列タイプ(差分および並べ替え可能)に対してのみ使用されます。

    例えば、ワークフローインスタンスレポートがある場合、指定されたプロパティは、開始時刻と終了時刻の時間差(ミリ秒単位)の実測値を格納するために使用されます。

  • secondarySubPath

    subPath と同様、secondaryProperty が使用された場合。

通常は、property のみが使用されます。

クライアントフィルター client-filter

クライアントフィルターは、サーバーが返したデータから、表示する情報を抽出します。

NOTE
このフィルターは、サーバーサイドの処理がすべて適用された後に、クライアントサイドで実行されます。
N:definitions
    N:data
        P:clientFilter [String]

clientFilter は、以下のような特徴を持つ JavaScript 関数です。

  • 入力として、パラメーターを 1 つ受け取ります。サーバーから返されたデータ(完全に前処理済み)です。
  • 出力として、フィルターを適用した(処理後の)値を返します。入力データから抽出または派生したデータです。

次の例では、コンポーネントパスから対応するページのパスを抽出します。

function(v) {
    var sepPos = v.lastIndexOf('/jcr:content');
    if (sepPos < 0) {
        return v;
    }
    return v.substring(sepPos + '/jcr:content'.length, v.length);
}

リゾルバーと前処理 resolvers-and-preprocessing

処理キューで様々なリゾルバーを定義し、前処理を設定します。

N:definitions
    N:data
        P:resolver
        N:resolverConfig
        N:preprocessing
            N:apply
            N:applyAfter
  • resolver

    使用するリゾルバーを定義します。次のリゾルバーを利用できます。

    • const

      値を他の値にマッピングします。例えば、en などの定数を、等価な値 English に解決するために使用します。

    • default

      デフォルトのリゾルバー。これは、実際には何も解決しないダミーのリゾルバーです。

    • page

      パスの値を、適切なページのパス(正確には、対応する jcr:content ノード)に解決します。例えば、/content/.../page/jcr:content/par/xyz/content/.../page/jcr:content に解決されます。

    • path

      オプションでサブパスを追加し、解決されたパスにあるノードのプロパティ(resolverConfig で定義)から実際の値を取得することによって、パス値を解決します。例えば、/content/.../page/jcr:contentpathjcr:title プロパティのコンテンツに解決でき、これはページパスがページタイトルに解決されることを意味します。

    • pathextension

      パスを先頭に追加し、解決されたパスのノードのプロパティから実際の値を取得することで、値を解決します。例えば、値 de の先頭に、プロパティ language から値を取得して /libs/wcm/core/resources/languages のようなパスを追加すると、国コード de を言語の説明 German に解決できます。

  • resolverConfig

    リゾルバーの定義を提供します。使用できるオプションは、選択した resolver によって異なります。

    • const

      プロパティを使用して、解決する定数を指定します。プロパティの名前で、解決する定数を定義します。プロパティの値で、解決後の値を定義します。

      例えば、Name = 1Value =One というプロパティの場合、1 が One に解決されます。

    • default

      使用できる設定がありません。

    • page

      • propertyName(オプション)

        値の解決に使用するプロパティの名前を定義します。指定しない場合、デフォルト値の jcr:title(ページタイトル)が使用されます。page リゾルバーの場合、最初にパスがページパスに解決され、次にページタイトルに解決されることを意味します。

    • path

      • propertyName(オプション)

        値の解決に使用するプロパティの名前を指定します。指定しない場合、jcr:title のデフォルト値が使用されます。

      • subPath(任意)

        このプロパティは、値を解決する前にパスに付加する接尾辞を指定するときに使用します。

    • pathextension

      • path(必須)

        先頭に付加するパスを定義します。

      • propertyName(必須)

        実際の値が配置されている、解決されたパスのプロパティを定義します。

      • i18n(任意、ブール演算タイプ)

        解決された値を​ 国際化する(すなわち CQ5 の国際化対応サービスを使用する)かどうかを決定します。

  • preprocessing

    前処理は任意で、apply または applyAfter の処理フェーズに(別々に)バインドできます。

リゾルバー resolvers

リゾルバーを使用して、必要な情報を抽出します。様々なリゾルバーの例を以下に示します。

Const

以下のコードを実行すると、VersionCreated の定数値が文字列 New version created に解決されます。

/libs/cq/reporting/components/auditreport/typecol/definitions/data を参照してください。

N:data
    P:resolver=const
    N:resolverConfig
        P:VersionCreated="New version created"

ページ

対応するページの jcr:content(子)ノードの jcr:description プロパティに、パス値を解決します。

/libs/cq/reporting/components/compreport/pagecol/definitions/data を参照してください。

N:data
    P:resolver=page
    N:resolverConfig
        P:propertyName="jcr:description"

パス

以下は、jcr:title プロパティのコンテンツへの /content/.../page パスを解決します。これは、ページパスがページタイトルに解決されることを意味します。

/libs/cq/reporting/components/auditreport/pagecol/definitions/data を参照してください。

N:data
    P:resolver=path
    N:resolverConfig
        P:propertyName="jcr:title"
        P:subPath="/jcr:content"

パスの拡張子

以下のコードでは、値 de の前にパスの拡張子 /libs/wcm/core/resources/languages を付けて、プロパティ language から値を取得し、言語の説明 German に対して国名コード de を解決します。

/libs/cq/reporting/components/userreport/languagecol/definitions/data を参照してください。

N:data
    P:resolver=pathextension
    N:resolverConfig
        P:path="/libs/wcm/core/resources/languages"
        P:propertyName="language"

前処理 preprocessing

preprocessing の定義は、以下のどちらかに適用できます。

  • 元の値:

    元の値に対する前処理の定義は、applyapplyAfter に直接指定します。

  • 値の集計状態:

    必要に応じて、集計ごとに個別の定義を指定できます。

    集計値の明示的な前処理を指定するには、前処理定義がそれぞれの aggregated 子ノード(apply/aggregatedapplyAfter/aggregated)に存在している必要があります。個別の集計に対する明示的な前処理が必要な場合、前処理定義は、例えば apply/aggregated/min/max や他の集計などの、それぞれの集計の名前を持つ子ノードに配置します。

以下のいずれかを指定して、前処理中に使用できます。

  • パターンの検索と置換
    検索後、(正規表現として定義される)指定したパターンを別のパターンに置き換えます。例えば、元の値からサブ文字列を抽出するときに使用できます。

  • データタイプフォーマッター

    数値を対応する文字列に変換します。例えば、1 時間の時間差を表す値は、1:24PM (1 hour ago) などの文字列に解決されます。

例:

N:definitions
    N:data
        N:preprocessing
            N:apply|applyAfter
                P:pattern         // regex
                P:replace         // replacement for regex
                // and/or
                P:format          // data type formatter

前処理 - パターンの検索と置換 preprocessing-find-and-replace-patterns

前処理の場合は、正規表現 または Regex と定義される pattern を指定しますが、これは検索後に replace パターンによって置換されます。

  • pattern

    部分文字列の検索に使用する正規表現です。

  • replace

    元の文字列の置き換えに使用する文字列、または文字列の表示です。多くの場合、pattern の正規表現によって検索される文字列のサブ文字列を示します。

置換の例は、以下のように分類できます。

  • definitions/data/preprocessing/apply ノードを以下の 2 つのプロパティと共に使用します。

    • pattern(.*)(/jcr:content)(/|$)(.*)
    • replace$1
  • 以下の文字列が検索されます。

    • /content/geometrixx/en/services/jcr:content/par/text
  • 次の 4 つのセクションに分類されます。

    • $1 - (.*) - /content/geometrixx/en/services
    • $2 - (/jcr:content) - /jcr:content
    • $3 - (/|$) - /
    • $4 - (.*) - par/text
  • $1 で表される文字列に置き換えます。

    • /content/geometrixx/en/services

前処理 - データタイプフォーマッター preprocessing-data-type-formatters

これらのフォーマッターは、数値を対応する文字列に変換します。

例えば、minavgmax の集計を許可する時間列に使用できます。minavgmax の集計は​ 時間差10 days ago など)として表示されるので、データフォーマッターが必要です。そのため、minavgmax の集計値に対して datedelta フォーマッターが適用されます。count 集計も利用できる場合、フォーマッターは不要です。また、元の値は含まれません。

現在使用可能なデータタイプフォーマッターは、以下のとおりです。

  • format

    データタイプフォーマッター:

    • duration

      指定された 2 つの日時の間のタイムスパンです。例えば、ワークフローアクションの開始から終了までの時間を 1 時間とした場合、開始を 2011 年 2 月 13 日 11 時 23 分とすると、終了は 1 時間後の 2011 年 2 月 13 日 12 時 23 分となります。

      数値(ミリ秒として解釈)が期間を表す文字列に変換されます。例えば、3000030s にフォーマットされます。

    • datedelta

      過去の日付から「現在」までのタイムスパンです(したがって、レポートを後の時点で表示すると、結果が異なります)。

      数値(日単位の時間差として解釈)が、相対日付の文字列に変換されます。例えば、1 という値は 1 日前としてフォーマットされます。

以下の例では、min および max の集計に対して datedelta フォーマットが指定されています。

N:definitions
    N:data
        N:preprocessing
            N:apply
                N:aggregated
                    N:min
                        P:format = "datedelta"
                    N:max
                        P:format = "datedelta"

列固有の定義 column-specific-definitions

列固有の定義は、その列で使用できるフィルターや集計を指定するものです。

N:definitions
    P:type
    P:groupable [Boolean]
    N:filters [cq:WidgetCollection]
    [
        N:<name> // array of nodes (names irrelevant) with the following properties:
            P:filterType
            P:id
            P:phase
    ]
    N:aggregates [cq:WidgetCollection]
    [
        N:<name> // array of nodes (names irrelevant) with the following properties:
            P:text
            P:type
    ]
  • type

    標準オプションとして使用できるものは以下のとおりです。

    • string

    • number

    • int

    • date

    • diff

    • timeslot

      日付から集計に必要な部分を抽出する場合(例えば年でグループ化し、年ごとに集計したデータを取得する場合)に使用します。

    • sortable

      並べ替えと表示に異なる値(異なるプロパティの値)を使用する値に適用します。

    上記のオプションはすべて、複数値として指定できます。例えば、string[] は文字列の配列を定義します。

    値抽出は、列のタイプによって選択されます。値抽出が列のタイプに対して使用可能な場合は、この抽出が使用されます。それ以外の場合は、デフォルトの値抽出が使用されます。

    タイプには、(任意で)パラメーターを指定できます。例えば、timeslot:year は日付フィールドから年を抽出します。タイプとそのパラメーター:

    • timeslot - 値を java.utils.Calendar の対応する定数と比較できます。

      • timeslot:year - Calendar.YEAR
      • timeslot:month-of-year - Calendar.MONTH
      • timeslot:week-of-year - Calendar.WEEK_OF_YEAR
      • timeslot:day-of-month - Calendar.DAY_OF_MONTH
      • timeslot:day-of-week - Calendar.DAY_OF_WEEK
      • timeslot:day-of-year - Calendar.DAY_OF_YEAR
      • timeslot:hour-of-day - Calendar.HOUR_OF_DAY
      • timeslot:minute-of-hour - Calendar.MINUTE
  • groupable

    レポートをこの列でグループ化できるかどうかを指定します。

  • filters

    フィルターの定義。

    • filterType

      使用可能なフィルターは以下のとおりです。

      • string

        文字列ベースのフィルター。

    • id

      フィルター識別子。

    • phase

      利用可能なフェーズ:

      • raw

        生データにフィルターを適用します。

      • preprocessed

        前処理されたデータにフィルターを適用します。

      • resolved

        解決されたデータにフィルターを適用します。

  • aggregates

    集計の定義。

    • text

      集計のテキスト名。text が指定されていない場合、集計のデフォルトの説明が取得されます。例えば、minimummin 集計に使用されます。

    • type

      集計タイプ。使用可能な集計は次のとおりです。

      • count

        行数を数えます。

      • count-nonempty

        空でない行の数を数えます。

      • min

        最小値を示します。

      • max

        最大値を示します。

      • average

        平均値を示します。

      • sum

        すべての値の合計を示します。

      • median

        中間値を示します。

      • percentile95

        すべての値の 95 パーセンタイル値を使用します。

列のデフォルト値 column-default-values

列のデフォルト値を定義します。

N:defaults
    P:aggregate

イベントおよびアクション events-and-actions

「設定を編集」では、リスナーが検出するために必要なイベントと、それらのイベントの発生後に適用されるアクションを定義します。背景の情報について詳しくは、コンポーネント開発の概要を参照してください。

必要なアクションがすべて実行されるようにするには、次の値を定義します。

N:cq:editConfig [cq:EditConfig]
    P:cq:actions [String[]] = "insert", "delete"
    P:cq:dialogMode = "floating"
    P:cq:layout = "auto"
    N:cq:listeners [cq:EditListenersConfig]
        P:aftercreate = "REFRESH_INSERTED"
        P:afterdelete = "REFRESH_SELF"
        P:afteredit = "REFRESH_SELF"
        P:afterinsert = "REFRESH_INSERTED"
        P:aftermove = "REFRESH_SELF"
        P:afterremove = "REFRESH_SELF"

汎用列 generic-columns

汎用列は、列定義(の大部分)を(コンポーネントノードではなく)列ノードのインスタンスに格納する拡張機能です。

個々の汎用コンポーネントに合わせてカスタマイズできる(標準)ダイアログボックスを使用します。このダイアログボックスでは、レポートユーザーがレポートページの汎用列の列プロパティを定義できます(メニューオプション「列プロパティ」を使用)。

ユーザーレポート ​の​ 汎用 ​列は、その一例です。詳しくは、/libs/cq/reporting/components/userreport/genericcol を参照してください。

列を汎用にするには:

  • generic に列の definition ノードの type プロパティを設定します。

    /libs/cq/reporting/components/userreport/genericcol/definitions を参照してください。

  • 列の definition ノードで、(標準)ダイアログの定義を指定します。

    /libs/cq/reporting/components/userreport/genericcol/definitions/dialog を参照してください。

    • ダイアログボックスのフィールドは、パスも含め、対応するコンポーネントプロパティと同じ名前を参照する必要があります。

      例えば、汎用列のタイプをダイアログで設定できるようにする場合、名前が ./definitions/type のフィールドを使用します。

    • UI やダイアログを使用して定義するプロパティは、columnbase コンポーネントで定義するプロパティより優先されます。

  • 編集設定を定義します。

    /libs/cq/reporting/components/userreport/genericcol/cq:editConfig を参照してください。

  • 標準の AEM の手法を使用して、(その他の)列のプロパティを定義します。

    プロパティがコンポーネントインスタンスと列インスタンスの両方で指定されている場合、列インスタンスの値が優先されます。

    汎用列で使用できるプロパティは次のとおりです。

    • jcr:title - 列名
    • definitions/aggregates - 集計
    • definitions/filters - フィルター
    • definitions/type - 列のタイプ(セレクターかコンボボックス、または非表示のフィールドを使用して、ダイアログで定義する必要があります)
    • definitions/data/resolver および definitions/data/resolverConfig(ただし definitions/data/preprocessing.../clientFilter は除く)- リゾルバーと設定
    • definitions/queryBuilder - クエリビルダーの設定
    • defaults/aggregate - デフォルトの集計

    ユーザーレポート ​に汎用列の新しいインスタンスがある場合、ダイアログで定義されたプロパティは次の場所に保持されます。

    /etc/reports/userreport/jcr:content/report/columns/genericcol/settings/generic

レポートデザイン report-design

レポートの作成に使用できる列のタイプはデザインで定義します。列を追加する段落システムも定義します。

アドビでは、それぞれのレポートに個別のデザインを作成することをお勧めします。これにより、完全な柔軟性が確保されます。詳しくは、新規レポートの定義を参照してください。

デフォルトのレポートコンポーネントは、/etc/designs/reports に保持されます。

レポートの場所は、コンポーネントが配置される場所によって異なります。

  • レポートの場所が /apps/cq/reporting の場合は、/etc/designs/reports/<yourReport> が適しています。

  • /apps/<yourProject>/reports パターンを使用したレポートの場合は /etc/designs/<yourProject>/reports/<*yourReport*>

必要なデザインプロパティは、jcr:content/reportpage/report/columns に登録されます(例:/etc/designs/reports/<reportName>/jcr:content/reportpage/report/columns)。

  • components

    レポートで使用できるコンポーネントやコンポーネントグループ。

  • sling:resourceType

    値が cq/reporting/components/repparsys のプロパティ。

(コンポーネントレポートのデザインから取得した)デザインスニペットの例を次に示します。

<!-- ... -->
    <jcr:content
        jcr:primaryType="nt:unstructured"
        jcr:title="Component Report"
        sling:resourceType="wcm/core/components/designer">
        <reportpage jcr:primaryType="nt:unstructured">
            <report jcr:primaryType="nt:unstructured">
                <columns
                    jcr:primaryType="nt:unstructured"
                    sling:resourceType="cq/reporting/components/repparsys"
                    components="group:Component Report"/>
            </report>
        </reportpage>
    </jcr:content>
<!-- ... -->

個々の列に対してデザインを指定する必要はありません。使用可能な列は、デザインモードで定義できます。

NOTE
標準のレポートデザインは変更しないことをお勧めします。これは、アップグレード時やホットフィックスのインストール時に変更内容が失われないようにするためです。
標準レポートをカスタマイズする場合は、レポートとそのデザインをコピーします。
NOTE
レポートの作成時に、デフォルトの列を自動的に作成できます。これらはテンプレートで指定されます。

レポートテンプレート report-template

各レポートタイプは、テンプレートを提供する必要があります。これらは標準的な CQ テンプレートであり、そのように設定できます。

テンプレートは次の条件を満たす必要があります。

  • cq/reporting/components/reportpagesling:resourceType を設定

  • 使用するデザインを示す

  • sling:resourceType プロパティでコンテナ(reportbase)コンポーネントを参照する report 子ノードを作成

(コンポーネントレポートテンプレートから取得される)テンプレートスニペットの例を次に示します。

<!-- ... -->
    <jcr:content
        cq:designPath="/etc/designs/reports/compreport"
        jcr:primaryType="cq:PageContent"
        sling:resourceType="cq/reporting/components/reportpage">
        <report
            jcr:primaryType="nt:unstructured"
            sling:resourceType="cq/reporting/components/compreport/compreport"/>
    </jcr:content>
<!-- .. -->

(ユーザーレポートテンプレートから取得した)ルートパスの定義を示すテンプレートスニペットの例を次に示します。

<!-- ... -->
    <jcr:content
        cq:designPath="/etc/designs/reports/userreport"
        jcr:primaryType="cq:PageContent"
        sling:resourceType="cq/reporting/components/reportpage">
        <report
            jcr:primaryType="nt:unstructured"
            rootPath="/home/users"
            sling:resourceType="cq/reporting/components/compreport/compreport"/>
    </jcr:content>
<!-- .. -->

デフォルトのレポートテンプレートは、/libs/cq/reporting/templates の下に保持されます。

ただし、アドビでは、これらのノードを更新しないことをお勧めします。代わりに、/apps/cq/reporting/templates またはより適切であれば /apps/<yourProject>/reports/templates に独自のコンポーネントノードを作成します。

定義例は次のとおりです(レポートコンポーネントの場所も参照)。

N:apps
    N:cq [nt:folder]
        N:reporting|reports [sling:Folder]
            N:templates [sling:Folder]

この場所に、テンプレートのルートを作成します。

N:apps
    N:cq [nt:folder]
        N:reporting|reports [sling:Folder]
            N:templates [sling:Folder]
                N:<reportname> [sling:Folder]

独自レポートの作成 - 例 creating-your-own-report-an-example

新しいレポートの定義 defining-your-new-report

レポートを定義するには、以下を作成して設定します。

  1. レポートコンポーネントのルート
  2. レポートベースコンポーネント
  3. 1 つまたは複数の列ベースコンポーネント
  4. レポートデザイン
  5. レポートテンプレートのルート
  6. レポートテンプレート

これらの手順を説明するために、次の例では、リポジトリ内のすべての OSGi 設定を一覧表示するレポートを定義します。つまり、sling:OsgiConfig ノードのすべてのインスタンスです。

NOTE
既存のレポートをコピーして新しいバージョンにカスタマイズするという方法もあります。
  1. 新しいレポートのルートノードを作成します。

    例えば、/apps/cq/reporting/components/osgireport の下です。

    code language-xml
    N:cq [nt:folder]
        N:reporting [sling:Folder]
            N:components [sling:Folder]
                N:osgireport [sling:Folder]
    
  2. レポートベースを定義します。例えば、/apps/cq/reporting/components/osgireportosgireport[cq:Component] です。

    code language-xml
    N:osgireport [sling:Folder]
        N:osgireport [cq:Component]
            P:sling:resourceSuperType [String] = "cq/reporting/components/reportbase"
            N:charting [nt:unstructured]
                N:settings [nt:unstructured]
                    N:active [cq:WidgetCollection]
                        N:0 [nt:unstructured]
                            P:id [String] = "pie"
                        N:1 [nt:unstructured]
                            P:id [String] = "lineseries"
                N:definitions [cq:WidgetCollections]
                    N:0 [nt:unstructured]
                        P:id [String] = "pie"
                        P:maxRadius [Long] = 180
                        P:type [String] = "pie"
                    N:1 [nt:unstructured]
                        P:id [String] = "lineseries"
                        P:type [String] = "lineseries"
            N:dialog [cq:Dialog]
                P:height [Long] = 424
                N:items [cq:WidgetCollection]
                    N:props [cq:Panel]
                        N:items [cq:WidgetCollection]
                            N:title [cq:Widget]
                                P:path [String] = "/libs/cq/reporting/components/commons/title.infinity.json"
                                P:xtype [String] = "cqinclude"
                            N:description [cq:Widget]
                                P:path [String] = "/libs/cq/reporting/components/commons/description.infinity.json"
                                P:xtype [String] = "cqinclude"
                            N:rootPath [cq:Widget]
                                P:fieldLabel [String] = "Root path"
                                P:name [String] = "./report/rootPath"
                                P:xtype [String] = "pathfield"
                            N:processing [cq:Widget]
                                P:path [String] = "/libs/cq/reporting/components/commons/processing.infinity.json"
                                P:xtype [String] = "cqinclude"
                            N:scheduling [cq:Widget]
                                P:path [String] = "/libs/cq/reporting/components/commons/scheduling.infinity.json"
                                P:xtype [String] = "cqinclude"
            N:queryBuilder [nt:unstructured]
                P:nodeTypes [String[]] = "sling:OsgiConfig"
    

    これは、次のようなレポートベースコンポーネントを定義します。

    • タイプが sling:OsgiConfig のすべてのノードを検索
    • pielineseries の両方のグラフを表示
    • ユーザーがレポートを設定するためのダイアログを提供
  3. 最初の列(columnbase)コンポーネントを定義します。例えば、/apps/cq/reporting/components/osgireportbundlecol[cq:Component] です。

    code language-xml
    N:osgireport [sling:Folder]
        N:bundlecol [cq:Component]
            P:componentGroup [String] = "OSGi Report"
            P:jcr:title = "Bundle"
            P:sling:resourceSuperType [String] = "cq/reporting/components/columnbase"
            N:cq:editConfig [cq:EditConfig]
                P:cq:actions [String[]] = "insert", "delete"
                P:cq:dialogMode [String] = "floating"
                P:cq:layout [String] = "auto"
                N:cq:listeners [cq:EditListenersConfig]
                    P:aftercreate [String] "REFRESH_INSERTED"
                    P:afterdelete [String] "REFRESH_SELF"
                    P:afteredit [String] "REFRESH_SELF"
                    P:afterinsert [String] "REFRESH_INSERTED"
                    P:aftermove [String] "REFRESH_SELF"
                    P:afterremove [String] "REFRESH_SELF"
            N:defaults [nt:unstructured]
                P:aggregate [String] = "count"
            N:definitions [nt:unstructured]
                P:groupable [Boolean] = false
                P:type [String] = "string"
                N:queryBuilder [nt:unstructured]
                    P:property [String] = "jcr:path"
    

    これは、次のような列ベースコンポーネントを定義します。

    • サーバーから受信する値(この場合、sling:OsgiConfig の各ノードの jcr:path プロパティ)を検索し、その値を返す
    • count 集計を提供
    • グループ化はできない
    • タイトル(テーブル内の列タイトル)は Bundle
    • サイドキックグループ OSGi Report に含まれる
    • 指定されたイベントで更新
    note note
    NOTE
    この例では、N:dataP:clientFilter の定義はありません。これは、サーバーから受け取った値が 1 対 1 で返されるためで、これがデフォルトの動作です。
    これは、定義と同じです。
    code language-none
    N:data [nt:unstructured]
       P:clientFilter [String] = "function(v) { return v; }"
    
    ここでは、関数は受け取った値を返すだけです。
  4. レポートデザインを定義します。例えば、/etc/designs/reportsosgireport[cq:Page] です。

    code language-xml
    N:osgireport [cq:Page]
        N:jcr:content [nt:unstructured]
            P:jcr:title [String] = "OSGi report"
            P:sling:resourceType [String] = "wcm/core/components/designer"
            N:reportpage [nt:unstructured]
                N:report [nt:unstructured]
                    N:columns [nt:unstructured]
                        P:components [String] = "group:OSGi Report"
                        P:sling:resourceType [String] = "cq/reporting/components/repparsys"
    
  5. 新しいレポートテンプレートのルートノードを作成します。

    例えば、/apps/cq/reporting/templates/osgireport の下です。

    code language-xml
    N:cq [nt:folder]
        N:reporting [sling:Folder]
            N:templates [sling:Folder]
                N:osgireport [cq:Template]
    
  6. レポートテンプレートを定義します。例えば、/apps/cq/reporting/templatesosgireport[cq:Template] です。

    code language-xml
    N:osgireport [cq:Template]
        P:allowedPaths [String[]] = "/etc/reports(/.*)?"
        P:jcr:description [String] = "Use this report generator to create an OSGi report."
        P:jcr:title [String] = "OSGi Report Template"
        P:ranking [Long] = 100
        P:shortTitle [String] = "OSGi Report"
        N:jcr:content [cq:PageContent]
            P:cq:designPath [String] = "/etc/designs/reports/osgireport"
            P:sling:resourceType [String] = "cq/reporting/components/reportpage"
            N:report [nt:unstructured]
                P:rootPath [String] = "/"
                P:sling:resourceType [String] = "cq/reporting/components/osgireport/osgireport"
        N:thumbnail.png [nt:file]
    

    これは、次のようなテンプレートを定義します。

    • 結果のレポートの allowedPaths を定義します。上記の場合、/etc/reports 下の任意の場所となります。
    • テンプレートのタイトルと説明を提供
    • テンプレートリストで使用するサムネール画像を提供(このノードの完全な定義は上に表示していません。既存のレポートから thumbnail.png のインスタンスをコピーするのが最も簡単です)

新規レポートのインスタンスの作成 creating-an-instance-of-your-new-report

新しいレポートのインスタンスを、次のように作成できます。

  1. ツール ​コンソールを開きます。

  2. 左側のウィンドウで、「レポート」を選択します。

  3. 次に、ツールバーから「新規…」を選択します。「タイトル」 および 「名前」を定義して、テンプレートのリストから新しいレポートタイプ(OSGi レポートテンプレート)を選択し、「作成」をクリックします。

  4. 新しいレポートインスタンスがリストに表示されます。ダブルクリックして開きます。

  5. サイドキックからコンポーネント(この例では、「OSGi レポート」グループの「バンドル」)をドラッグして最初の列を作成し、レポートの定義を開始します。

    note note
    NOTE
    この例では、グループ化可能な列がないので、グラフは使用できません。グラフを表示するには、groupabletrue に設定します。
    code language-none
    N:osgireport [sling:Folder]
     N:bundlecol [cq:Component]
     N:definitions [nt:unstructured]
     P:groupable [Boolean] = true
    

レポートフレームワークサービスの設定 configuring-the-report-framework-services

この節では、レポートフレームワークの実装に使用する OSGi サービスの高度な設定オプションについて説明します。

この設定オプションは、web コンソール(http://localhost:4502/system/console/configMgr などで入手可能)の設定メニューを使用して表示できます。AEM を操作しているときは、このようなサービスの設定を管理する方法がいくつかあります。詳細および推奨事項については、OSGi の設定を参照してください。

基本サービス(Day CQ レポート設定) basic-service-day-cq-reporting-configuration

  • タイムゾーン ​は、履歴データが作成されるタイムゾーンを定義します。これは、履歴グラフで世界中の各ユーザーに対して、確実に同じデータを表示するためです。

  • ロケール ​は、履歴データの​ タイムゾーン ​と組み合わせて使用するロケールを定義します。ロケールは、ロケール固有のカレンダー設定(週の最初の曜日が日曜日か月曜日かなど)を決定するために使用されます。

  • スナップショットパス ​は、履歴グラフのスナップショットを保存するルートパスを定義します。

  • レポートへのパス ​は、レポートのあるパスを定義します。これは、スナップショットサービスで、実際にスナップショットを作成するレポートを決定するために使用されます。

  • 日別スナップショット ​は、日別のスナップショットを取得する時間を定義します。指定された時間は、サーバーのローカルタイムゾーンになります。

  • 時間別スナップショット ​は、時間別のスナップショットを取得する各時刻の分を定義します。

  • 行(最大) ​は、各スナップショットに対して保存される最大行数を定義します。この値は合理的に選択する必要があります。値が大きすぎる場合は、リポジトリのサイズに影響します。値が小さすぎる場合は、履歴データの処理方法が原因で、データが正確でない可能性があります。

  • フェイクデータ ​を有効にした場合、fakedata セレクターを使用することでフェイク履歴データを作成できます。無効にした場合、fakedata セレクターを使用することで例外がスローされます。

    フェイクデータは、テストおよびデバッグの用途で​ のみ ​使用してください。

    fakedata セレクターを使用するとレポートが暗黙的に終了するので、既存のデータはすべて失われます。データは手動で復元できますが、時間のかかるプロセスになる場合があります。

  • スナップショットユーザー ​で、スナップショットの取得に使用できるオプションのユーザーを定義します。

    基本的には、レポートを終了したユーザーに対してスナップショットが取得されます。例えばパブリッシュシステムで、ユーザーアカウントが複製されていないのでこのユーザーが存在しない場合など、このユーザーの代わりに使用する代替ユーザーの指定が必要な場合があります。

    ただし、ユーザーを指定するとセキュリティリスクが高まる可能性もあります。

  • スナップショットユーザーを適用 ​を有効にすると、すべてのスナップショットが、スナップショットユーザー ​で指定したユーザーを使用して取得されます。この機能は適切に使用しないと、セキュリティに重大な影響を与える可能性があります。

キャッシュ設定(Day CQ レポートキャッシュ) cache-settings-day-cq-reporting-cache

  • 有効にする ​を使用すると、レポートデータのキャッシュを有効または無効にできます。レポートのキャッシュを有効にすると、複数の要求が行われる間、レポートデータがメモリに保持されます。これによりパフォーマンスが向上する可能性がありますが、メモリ消費量が増加し、極端な状況ではメモリ不足に陥る場合があります。
  • TTL は、レポートデータがキャッシュされる時間(秒単位)を定義します。数値を大きくするとパフォーマンスが向上しますが、期間内にデータが変更された場合は不正確なデータが返される場合もあります。
  • 最大エントリ数 ​は、一度にキャッシュできるレポートの最大数を定義します。
NOTE
レポートデータは、ユーザーと言語ごとに異なる場合があります。したがって、レポートデータは、レポート、ユーザーおよび言語ごとにキャッシュされます。これは、2 の​ 最大エントリ数 ​の値が、実際には次のいずれかのデータをキャッシュすることを意味します。
  • 言語設定が異なる 2 人のユーザー向けの 1 つのレポート
  • 1 人のユーザーと 2 つのレポート
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