MSM for を使用したアセットの再利用Assets reuse-assets-using-msm-for-assets
Adobe Experience Manager のマルチサイトマネージャー(MSM)機能を使用すると、一度作成したコンテンツを複数の web サイトで再利用できます。これと同じ機能が、MSM for Assets 機能としてデジタルアセットにも使用できます。MSM for Assets を使用すると、次のことが可能になります。
- 一度アセットを作成した後、そのアセットのコピーを作成して、サイトの他の領域で再利用する。
- 複数のコピーを同期させ、元のプライマリコピーの変更を子コピーにプッシュする。
- 親アセットと子アセットの間のリンクを一時的または永続的に休止してローカルに変更を行う。
前提条件 prereq
MSM for Assets を使用するには、少なくとも Experience Manager 6.5 サービスパック 1 をインストールしてください。詳しくは、最新のサービスパックのリリースノートを参照してください。
利点と概念の理解 concepts
仕組みと利点 how-it-works-and-the-benefits
複数の web サイトで同じコンテンツ(テキストとアセット)を再利用するための使用シナリオを理解するには、考えられる MSM シナリオを参照してください。Experience Manager では、元のアセットとそのリンクコピーとのリンクを維持します。このコピーはライブコピー(LC)と呼ばれます。リンクが維持されるので、変更を一元的に管理し、多くのライブコピーにプッシュできます。これにより、重複コピー管理の制限を排除しながら、更新を迅速化できます。変更の伝播はエラーを伴わず、一元化されています。この機能により、選択した一部のライブコピーのみを更新することもできます。ユーザーは、リンクを分離つまり継承を解除したうえでローカル編集を行い、次回プライマリコピーが更新されて変更がロールアウトされたときに編集が上書きされないようにすることができます。分離は、選択した一部のメタデータフィールドまたはアセット全体に対して行うことができます。これにより、元々プライマリコピーから継承されていたアセットをローカルに更新する柔軟性が得られます。
MSM では、ソースアセットとそのライブコピーとのライブ関係を次の目的で維持します。
- ソースアセットの変更がライブコピーにも適用(ロールアウト)されます。つまり、ライブコピーはソースと同期しています。
- ライブ関係を休止してライブコピーを更新することも、一部の限られたフィールドについて継承を解除することもできます。ソースに対する変更はライブコピーに適用されなくなります。
MSM for Assets の用語集 glossary
ソース:元のアセットまたはフォルダー。ライブコピーの派生元となるプライマリコピー。
ライブコピー:ソースと同期されている、ソースアセット/フォルダーのコピー。ライブコピーは、さらに別のライブコピーのソースになることができます。LC の作成方法を参照してください。
継承:ライブコピーアセット/フォルダーとそのソースとのリンク/参照で、更新内容の送信先を記憶するためにシステムで使用されるもの。メタデータフィールドの継承は詳細なレベルで存在します。ソースとそのライブコピーとのライブ関係を維持しながら、一部のメタデータフィールドの継承を解除することができます。
ロールアウト:ソースに加えられた変更をそのライブコピーにプッシュするアクション。ロールアウトアクションを使用して、一度に 1 つ以上のライブコピーを更新することができます。ロールアウトを参照してください。
ロールアウト設定:同期するプロパティと同期の方法およびタイミングを決定する:ルール。これらの設定はライブコピーの作成時に適用され、後で編集できます。子は親アセットからロールアウト設定を継承できます。MSM for Assets の場合は、標準ロールアウト設定のみ使用します。それ以外のロールアウト設定は、MSM for Assets では使用できません。
同期:ソースからライブコピーに更新内容を送信することでソースとライブコピーの同等性を維持する、ロールアウト以外のアクション。特定のライブコピーに対して同期が開始され、このアクションでソースから変更内容が取得されます。このアクションを使用すると、ライブコピーの 1 つだけを更新することができます。同期アクションを参照してください。
休止:ライブコピーとソースアセット/フォルダーとのライブ関係を:一時的に解除します。関係は再開できます。休止アクションを参照してください。
再開:ライブ関係を再開して、ライブコピーがソースからの更新内容の受け取りを再び開始するようにします。再開アクションを参照してください。
リセット:リセットアクションは、ローカルの変更を上書きしてライブコピーをソースのレプリカに戻します。また、継承のキャンセルを削除し、すべてのメタデータフィールドの継承をリセットします。後でローカルに変更を加えるには、特定のフィールドの継承を再度キャンセルする必要があります。LC に対するローカルの変更を参照してください。
デタッチ:ライブコピーアセット/フォルダーのライブ関係を完全に解除します。分離アクションの後、ライブコピーはソースから更新内容を受け取ることができなくなり、ライブコピーではなくなります。関係の解除を参照してください。
アセットのライブコピーの作成 createlc
1 つ以上のソースアセットまたはフォルダーからライブコピーを作成するには、次のいずれかを実行します。
- 方法 1:ソースアセットを選択し、上部のツールバーで 作成/ライブコピー をクリックします。
- 方法 2:Experience Manager ユーザーインターフェイスの右上隅で、作成/ライブコピー をクリックします。
アセットまたはフォルダーのライブコピーを 1 つずつ作成できます。それ自体がライブコピーであるアセットまたはフォルダーから派生したライブコピーを作成できます。この使用例では、コンテンツフラグメント(CF)はサポートされていません。ライブコピーを作成しようとすると、CF は関係を除きそのままコピーされます。コピーされた CF はある時点でのスナップショットであり、元の CF が更新されてもコピーされた CF は更新されません。
最初の方法でライブコピーを作成するには、次の手順に従います。
-
ソースアセットまたはフォルダーを選択します。ツールバーで 作成/ライブコピー をクリックします。
図:Experience Manager インターフェイスでのライブコピーの作成
-
宛先フォルダーを選択します。「次へ」をクリックします。
-
タイトルと名前を入力します。アセットに子はありません。フォルダーのライブコピーを作成する場合は、子を含めるか含めないかを選択できます。
-
ロールアウト設定を選択します。「作成」をクリックします。
2 番目の方法でライブコピーを作成するには、次の手順に従います。
-
Experience Manager インターフェイスの右上隅で 作成/ライブコピー をクリックします。
図:Experience Manager インターフェイスでのライブコピーの作成
-
ソースアセットまたはソースフォルダーを選択します。「次へ」をクリックします。
-
宛先フォルダーを選択します。「次へ」をクリックします。
-
タイトルと名前を入力します。アセットに子はありません。フォルダーのライブコピーを作成する場合は、子を含めるか含めないかを選択できます。
-
ロールアウト設定を選択します。「作成」をクリックします。
ソースおよびライブコピーの各種プロパティおよびステータスの表示 properties
Experience Manager ユーザーインターフェイスの様々な領域で、ライブコピーの情報や MSM 関連ステータス(関係、同期、ロールアウトなど)を表示できます。
アセットとフォルダーに対しては次の 2 通りの方法があります。
- ライブコピーアセットを選択し、そのプロパティページで情報を確認します。
- ソースフォルダーを選択し、ライブコピーコンソールから各ライブコピーの詳細情報を確認します。
ライブコピーの情報とステータス statuslcasset
ライブコピーアセットまたはライブコピーフォルダーの情報とステータスを確認するには、次の手順に従います。
-
ライブコピーアセットまたはライブコピーフォルダーを選択します。ツールバーの「プロパティ」をクリックします。または、キーボードショートカット
p
を使用します。 -
「ライブコピー」をクリックします。ソースのパス、休止ステータス、同期ステータス、前回のロールアウト日、前回のロールアウトを行ったユーザーを確認できます。
図:ライブコピーの情報とステータス
-
子アセットがライブコピー設定を借用するかどうかを選択できます。
-
ライブコピーがロールアウト設定を親から継承するか、設定を変更するかを指定するオプションを選択できます。
フォルダーのすべてのライブコピーの情報とステータス status-lc-folder
Experience Manager には、ソースフォルダーの全ライブコピーのステータスを確認できるコンソールが用意されています。このコンソールには、すべての子アセットのステータスが表示されます。
-
ソースフォルダーを選択します。ツールバーの「プロパティ」をクリックします。または、キーボードショートカット
p
を使用します。 -
「ライブコピーのソース」をクリックします。コンソールを開くには、「ライブコピーの概要」をクリックします。このダッシュボードには、すべての子アセットの最上位ステータスが表示されます。
図:ソースのライブコピーコンソールにおけるライブコピーステータスの表示
-
ライブコピーフォルダー内の各アセットに関する詳細情報を表示するには、アセットを選択し、ツールバーの「関係ステータス」をクリックします。
フォルダー内のライブコピー子アセットの詳細情報とステータス
ソースの参照パネルのクイックアクション refrailsource
ソースアセットまたはフォルダーの場合は、参照パネルから以下の情報を参照したり以下のアクションを直接実行したりできます。
- ライブコピーのパスを参照する。
- 特定のライブコピーを Experience Manager ユーザーインターフェイスで開くまたは表示する。
- 更新内容を特定のライブコピーに同期する。
- 特定のライブコピーについて、関係を休止したりロールアウト設定を変更したりする。
- ライブコピーの概要コンソールにアクセスする。
ソースアセットまたはフォルダーを選択し、左側のパネルを開いて「参照」をクリックします。あるいは、アセットまたはフォルダーを選択し、キーボードショートカット Alt + 4
を使用します。
図:選択したソースの参照パネルで使用可能なアクションと情報
特定のライブコピーの場合は、「ライブコピーを編集」をクリックすると、関係を休止したり、ロールアウト設定を変更したりできます。
図:特定ライブコピーの関係の休止やロールアウト設定の変更
ライブコピーの参照パネルのクイックアクション ref-rail-lc
ライブコピーアセットまたはフォルダーの場合は、参照パネルから以下の情報を参照したり以下のアクションを直接実行したりできます。
- ソースのパスを参照する。
- 特定のライブコピーを Experience Manager ユーザーインターフェイスで開くまたは表示する。
- 更新内容をロールアウトする。
ライブコピーアセットまたはフォルダーを選択し、左側のパネルを開いて「参照」をクリックします。あるいは、アセットまたはフォルダーを選択し、キーボードショートカット Alt + 4
を使用します。
図:選択したライブコピーの参照パネルで使用可能なアクション
ソースからライブコピーへの変更の伝播 rolloutsync
ソースが変更されると、同期アクションまたはロールアウトアクションを使用して、変更内容をライブコピーに伝播させることができます。両方のアクションの違いを理解するには、用語集を参照してください。
ロールアウトアクション rollout
ソースアセットからロールアウトアクションを開始して、すべてまたは選択した一部のライブコピーを更新できます。
-
ライブコピーアセットまたはライブコピーフォルダーを選択します。ツールバーの「プロパティ」をクリックします。または、キーボードショートカット
p
を使用します。 -
「ライブコピーのソース」をクリックします。ツールバーの「ロールアウト」をクリックします。
-
更新するライブコピーを選択します。「ロールアウト」をクリックします。
-
子アセットに対する更新内容をロールアウトするには、「ソースとすべての子をロールアウト」をオンにします。
図:一部または全部のライブコピーへのソース変更のロールアウト
または、特定のライブコピーを選択した後で参照パネルからロールアウトアクションを開始することもできます。詳しくは、ライブコピーの参照パネルのクイックアクションを参照してください。このロールアウト方法では、選択したライブコピーとその子(任意指定)のみ更新されます。
図:選択したライブコピーへのソース変更のロールアウト
同期アクションについて about-sync
同期アクションは、ソースの変更内容を取り込んで、選択したライブコピーにのみ適用します。同期アクションでは、継承のキャンセル後に行われたローカルの変更を尊重して維持します。ローカルの変更は上書きされず、キャンセルした継承は復元されません。同期アクションは 3 通りの方法で開始できます。
ライブコピーの同期 sync-lc
同期アクションを開始するには、ライブコピーの プロパティ ページを開き、「ライブコピー」をクリックして、ツールバーで目的のアクションをクリックします。
同期アクションに関連するステータスと情報を確認するには、ライブコピーの情報とステータスおよびフォルダーのすべてのライブコピーの情報とステータスを参照してください。
図:同期アクションによるソースの変更内容の取り込み
関係の休止と再開 suspend-resume
関係を一時的に休止して、ソースアセットまたはソースフォルダーの変更内容をライブコピーが受け取らないようにすることができます。また、関係を再開して、ソースの変更内容をライブコピーが受け取るようにすることもできます。
関係を休止または再開するには、ライブコピーの プロパティ ページを開き、「ライブコピー」をクリックして、ツールバーで目的のアクションをクリックします。
または、ライブコピーの概要 コンソールから、ライブコピーフォルダー内の複数のアセットについて、関係をすばやく休止または再開することができます。ライブコピーフォルダー内の多数のアセットに対するアクションの実行を参照してください。
ライブコピーのローカル編集 local-mods
ライブコピーは、元のソースの作成時のレプリカです。ライブコピーのメタデータ値はソースから継承されます。メタデータフィールドは、ソースアセットの各フィールドとの継承を個別に維持します。
ただし、ライブコピーをローカルに変更して、一部の限定されたプロパティを変更する柔軟性があります。ローカルに変更するには、目的のプロパティの継承をキャンセルします。1 つ以上のメタデータフィールドの継承がキャンセルされても、アセットのライブ関係と他のメタデータフィールドの継承は保持されます。同期やロールアウトでローカルの変更内容が上書きされることはありません。継承をキャンセルするには、ライブコピーアセットの プロパティ ページを開き、メタデータフィールドの横にある「継承をキャンセル」オプションをクリックします。
ローカルの変更をすべて取り消して、アセットをソースの状態に戻すことができます。リセットアクションは、ローカルの変更をすべて完全かつ即座に無効にし、すべてのメタデータフィールドの継承を復元します。元に戻すには、ライブコピーアセットの プロパティ ページでツールバーの「リセット」クリックします。
図:リセットアクションでローカルの編集内容が上書きされ、ライブコピーがソースの状態に戻る
ライブ関係の削除 detach
分離アクションを使用して、ソースとライブコピーとの関係を完全に解除できます。ライブコピーは、分離された後、スタンドアロンのアセットまたはフォルダーになります。分離後直ちに、新しいアセットとして Experience Manager インターフェイスに表示されます。ソースからライブコピーを分離するには、次の手順に従います。
-
ライブコピーアセットまたはフォルダーを選択します。 ツールバーの「プロパティ」をクリックします。または、キーボードショートカット
p
を使用します。 -
「ライブコピー」をクリックします。ツールバーの「分離」をクリックします。表示されるダイアログで「分離」クリックします。
図:分離アクションによって、ソースとライブコピーとの関係が完全に解除される
note caution CAUTION ダイアログで「分離」をクリックするとすぐに、関係が解除されます。プロパティページで「キャンセル」をクリックしても、関係を元に戻すことはできません。
または、ライブコピーの概要 コンソールでライブコピーフォルダー内の複数のアセットをすばやく分離することができます。ライブコピーフォルダー内の多数のアセットに対するアクションの実行を参照してください。
ライブコピーフォルダーでの一括アクション bulk-actions
ライブコピーフォルダーに複数のアセットがある場合、アセットごとにアクションを開始するのは面倒なことがあります。ライブコピーコンソールから、多数のアセットに対して基本アクションをすばやく開始できます。上記の方法は、個々のアセットに対して引き続き機能します。
-
ソースフォルダーを選択します。ツールバーの「プロパティ」をクリックします。または、キーボードショートカット
p
を使用します。 -
「ライブコピーのソース」をクリックします。コンソールを開くには、「ライブコピーの概要」をクリックします。
-
このダッシュボードで、ライブコピーフォルダーからライブコピーアセットを選択します。ツールバーで目的のアクションをクリックします。使用可能なアクションは、同期、リセット、休止、分離 です。選択したソースフォルダーとライブ関係にある任意の数のライブコピーフォルダーに含まれている任意のアセットに対して、これらの操作をすばやく開始できます。
図:ライブコピーの概要コンソールからライブコピーフォルダー内の多数のアセットを容易に更新できる
ライブコピーに対するアセット管理タスクの影響 manage-assets
ライブコピーとソースは、ある程度までデジタルアセットとして管理できるアセットまたはフォルダーです。Experience Manager における一部のアセット管理タスクは、ライブコピーに特定の影響を及ぼします。
- ライブコピーをコピーすると、最初のライブコピーと同じソースのライブコピーアセットが作成されます。
- ソースまたはソースのライブコピーを移動しても、ライブ関係は保持されます。
- 編集アクションはライブコピーアセットには機能しません。ライブコピーのソース自体がライブコピーである場合、編集アクションはそのソースには機能しません。
- チェックアウトアクションはライブコピーアセットには使用できません。
- ソースフォルダーの場合は、レビュータスクを作成するオプションを使用できます。
- アセットリストをリスト表示および列表示で表示する場合、ライブコピーアセットまたはフォルダーには「ライブコピー」と表示されます。これにより、フォルダー内のライブコピーを識別しやすくなります。
MSM for Assets と MSM for Sites の比較 comparison
多くのシナリオで、MSM for Assets の機能は MSM for Sites の機能と同様に動作します。注意すべき重要な違いは次のとおりです。
- MSM for Sites におけるブループリントは、MSM for Assets ではライブコピーソースと呼ばれます。
- MSM for Sites ではブループリントとそのライブコピーを比較できますが、MSM for Assets ではソースとそのライブコピーを比較することはできません。
- MSM for Assets ではライブコピーを編集できません。
- MSM for Sites の場合は子があるのが普通ですが、MSM for Assets の場合はそうではありません。個々のアセットのライブコピーを作成する際に、子を含めるか含めないかを選択するオプションはありません。
- サイトを作成ウィザードでの章ステップの削除は、MSM for Assets ではサポートされていません。
- ページプロパティに対する MSM ロックの設定(タッチ操作対応 UI)は、MSM for Assetsでは対応していません。
- MSM for Assets の場合は、標準ロールアウト設定 のみ使用します。それ以外のロールアウト設定は、MSM for Assets では使用できません。
ベストプラクティス best-practices
MSM のベストプラクティスの一部を次に示します。
- 実装を開始する前に、アセットとコンテンツフローの親子関係を計画します。
MSM for Assets の制限事項と既知の問題 limitations
MSM for Assets の制限事項は次のとおりです。
-
この使用例では、コンテンツフラグメント(CF)はサポートされていません。ライブコピーを作成しようとすると、CF は関係を除きそのままコピーされます。コピーされた CF はある時点でのスナップショットであり、元の CF が更新されても更新されません。
-
MSM for Assets は、メタデータの書き戻しが有効になっている場合には機能しません。書き戻し時に、継承が解除されます。