フォームの入力時または送信時には、そのフォームを印刷物またはドキュメント形式で記録しておくことができます。このレコードは、レコードのドキュメント(DoR)と呼ばれる、送信されたフォームの印刷用コピーです。また、顧客が後日入力した情報のレコードのドキュメントを参照したり、レコードのドキュメントを使用してフォームとコンテンツを PDF 形式でアーカイブしたりすることもできます。
レコードのドキュメントを作成するには、XFA または AcroForm ベースのテンプレートを、アダプティブフォームを使用して収集したデータと結合します。レコードのドキュメントは、自動またはオンデマンドで生成できます。オンデマンドオプションを使用すると、XFA または AcroForm ベースのカスタムテンプレートを指定して、レコードのドキュメントの外観をカスタマイズすることができます。
以下の操作を実行できます。
本題に入る前に、レコードのドキュメントに必要な次のアセットを理解し準備します。
基本テンプレート: Forms Designer または Acrobat フォーム(AcroForm)で作成された XFA テンプレート(XDP ファイル)。基本テンプレートは、レコードのドキュメントのスタイル設定とブランディング情報を指定するために使用されます。XFA テンプレート(XDP ファイル)を AEM Forms インスタンスに先にアップロードします。。
アダプティブフォーム:レコードのドキュメントが生成されるアダプティブフォーム。
XFA テンプレート(XDP ファイル)を AEM Forms インスタンスにアップロードします。XFA テンプレート(XDP ファイル)をレコードのドキュメントのテンプレートとして使用するようにアダプティブフォームを設定するには、次の手順を実行します。
これで、XDP ファイルをレコードのドキュメントのテンプレートとして使用するように、アダプティブフォームが設定されました。次の手順では、アダプティブフォームコンポーネントを対応するテンプレートフィールドにバインドします。
Adobe Acrobat PDF(AcroForm)を AEM Forms インスタンスにアップロードします。Adobe Acrobat PDF(AcroForm)をレコードのドキュメントのテンプレートとして使用するようにアダプティブフォームを設定するには、次の手順を実行します。
これで、AcroForm をレコードのドキュメントのテンプレートとして使用するように、アダプティブフォームが設定されました。次の手順では、アダプティブフォームコンポーネントを対応するテンプレートフィールドにバインドします。
レコードのドキュメントを自動的に生成するようにアダプティブフォームを設定すると、フォームが変更されるたびに、そのレコードのドキュメントが直ちに更新されます。例えば、既存のアダプティブフォームからフィールドを削除すると、対応するフィールドも削除され、レコードのドキュメントには表示されません。レコードのドキュメントを自動的に生成する利点は他にも多数あります。
レコードのドキュメントを自動生成するようアダプティブフォームを設定するには、次の手順を実行します。
アダプティブフォームフィールドをテンプレートフィールドにバインドすると、取り込んだフォームデータが、対応するレコードのドキュメントフィールドに表示されます。アダプティブフォームコンポーネントを、対応するレコードのドキュメントテンプレートフィールドにバインドするには、次の手順に従います。
カスタムフォームテンプレートを使用するように設定されたアダプティブフォームを編集用に開きます。
アダプティブフォームコンポーネントを選択し、設定アイコン()をクリックします。プロパティブラウザーが開きます。
プロパティブラウザーで、フィールドを参照して選択します。
「保存」をクリックします。
「メールの送信」、「AEM ワークフローの呼び出し」、「Power Automate フローの呼び出し」、およびその他の「送信アクション」などの送信アクションを使用して、レコードのドキュメントを受け取ることができます。
アダプティブフォームと対応するレコードのドキュメントテンプレートは、期間を経て漸進的に変化します。アダプティブフォームまたはレコードのドキュメントテンプレートに対して、フィールドの追加、削除、変更を選択できます。
レコードのドキュメントテンプレートに変更を加え、変更したレコードのドキュメントテンプレートを AEM Forms にアップロードすると、アダプティブフォームエディターが変更されたバインディングを自動的に検出し、新しいバインディングが必要なアダプティブフォームコンポーネントが通知されます。これにより、レコードのドキュメントテンプレートを増分更新できます。
例えば、We.Retail という組織に、AcroForm ベースのレコードのドキュメントテンプレート we-retail-invoice.pdf があるとします。テンプレートは次のようになります。
このテンプレートをしばらく使用した後、組織は invoice-number
フィールドの名前を bill-number
フィールドに変更し、購入者のメールアドレスを取り込むことにします。開発者は invoice-number
フィールドの名前を更新し、テンプレートに「メール」フィールドを追加します。また、we-retail-invoice-v2.pdf という新しいバージョンのテンプレートも作成します。
アダプティブフォームが送信されると、更新されたレコードのレコードのドキュメントが作成されるようになりました。
アダプティブフォーム用のレコードのドキュメントで作業する際は、次の点に注意してください。
次の表に、アダプティブフォームのコンポーネントと対応する XFA のコンポーネントおよびそれらがレコードのドキュメントに表示される場合について説明します。
アダプティブフォームコンポーネント | 対応する XFA コンポーネント | レコードのドキュメントのテンプレートにデフォルトで含まれていますか? | 備考 |
---|---|---|---|
ボタン | ボタン | false | |
チェックボックス | チェックボックス | true | |
日付選択 | 日付/時間フィールド | true | |
ドロップダウンリスト | ドロップダウンリスト | true | |
数値ボックス | 数値フィールド | true | |
ラジオボタン | ラジオボタン | true | |
テキストボックス | テキストフィールド | true | |
リセットボタン | リセットボタン | false | |
送信ボタン | メール送信ボタン HTTP 送信ボタン |
false | |
ファイル添付 | false | レコードのドキュメントのテンプレートでは使用できません。添付ファイルを介した場合のみレコードのドキュメントで使用できます。 |
アダプティブフォームコンポーネント | 対応する XFA コンポーネント | 備考 |
---|---|---|
パネル |
サブフォーム |
繰り返し可能なパネルは、繰り返し可能なサブフォームにマッピングされます。 |
アダプティブフォームコンポーネント | 対応する XFA コンポーネント | 備考 |
---|---|---|
画像 | 画像 | レコードのドキュメント設定を使用して除外されない限り、TextDraw と Image の各コンポーネントは、バインドされているかどうかを問わず、XSD ベースのアダプティブフォーム用のレコードのドキュメントに常に表示されます。 |
テキスト | テキスト |
ヘッダー、フッターおよび列といった、アダプティブフォームのテーブルコンポーネントは、対応する XFA コンポーネントにマッピングされます。繰り返し可能なパネルを、レコードのドキュメントのテーブルにマッピングすることができます。
基本テンプレートは、レコードのドキュメントにスタイリングと外観の情報を提供します。これにより、自動生成されたレコードのドキュメントに対して、デフォルトの外観をカスタマイズすることができます。例えば、基本テンプレートを使用して、レコードのドキュメントのヘッダーに会社のロゴを、フッターに著作権情報を追加できます。
基本テンプレートから作成されたマスターページは、レコードのドキュメントのテンプレートのマスターページとして使用されます。マスターページには、レコードのドキュメントに適用可能なページヘッダー、ページフッター、ページ番号などの情報を含めることができます。レコードのドキュメント自動生成用の基本テンプレートを使用することで、それらの情報をレコードのドキュメントに適用できます。基本テンプレートを使用すると、フィールドのデフォルトプロパティを変更することができます。
基本テンプレートを設計する際は、基本テンプレートの規則に従ってください。
基本テンプレートを使用して、レコードのドキュメントのヘッダー、フッター、スタイル、および外観を定義します。ヘッダーとフッターには、会社のロゴや著作権テキストなどの情報を含めることができます。基本テンプレートの最初のマスターページがコピーされ、レコードのドキュメント用のマスターページとして使用されます。この中には、ヘッダー、フッター、ページ番号、またはレコードのドキュメント内のすべてのページに表示されるその他の情報が含まれています。基本テンプレートの規則に準拠していない基本テンプレートを使用する場合でも、その最初のマスターページがレコードのドキュメントのテンプレートで使用されます。基本テンプレートを規則通りに設計し、レコードのドキュメントの自動生成に使用することを強くお勧めします。
メインページの規則
基本テンプレートでは、ルートサブフォームに AF_METATEMPLATE
、マスターページに AF_MASTERPAGE
と名前を付けます。
ルートサブフォームの AF_METATEMPLATE
下に位置する AF_MASTERPAGE
という名前のマスターページは、ヘッダー、フッターおよびスタイル情報を抽出する場合に優先して使用されます。
AF_MASTERPAGE
が存在しない場合は、基本テンプレート中に存在する最初のマスターページが使用されます。
フィールドのスタイリング規則
レコードのドキュメント内のフィールドにスタイルを適用するため、基本テンプレートは AF_FIELDSSUBFORM
ルートサブフォーム内の AF_METATEMPLATE
サブフォームにフィールドを作成します。
これらのフィールドのプロパティは、レコードのドキュメント内のフィールドに適用されます。これらのフィールドは、AF_<name of field in all caps>_XFO
の命名規則に従う必要があります。例えば、チェックボックスのフィールド名は AF_CHECKBOX_XFO
とする必要があります。
基本テンプレートを作成するには、Forms Designer で次の手順を実行します。
ファイル/新規をクリックします。
「テンプレートに基づく」のオプションを選択します。
「Forms - レコードのドキュメント」のカテゴリを選択します。
「DoR 基本テンプレート」を選択します。
「次へ」をクリックし、必要な情報を入力します。
(オプション)レコードのドキュメント内のフィールドに適用する、フィールドのスタイルと外観を変更します。
フォームを保存します。
保存したフォームをレコードのドキュメント用の基本テンプレートとして使用できるようになりました。基本テンプレート中に存在するスクリプトについて、いずれも変更したり、削除したりしないでください。
基本テンプレートの変更
基本テンプレートを設計するときは、上記の規則と手順に厳密に従ってください。
レコードのドキュメントの生成中に、「レコードのドキュメント」タブにあるレコードのドキュメントのブランディング情報を変更できます。「レコードのドキュメント」タブには、ロゴ、外観、レイアウト、ヘッダー、フッター、免責事項などのオプションや、選択されていないチェックボックスやラジオボタンを含めるかどうかのオプションが含まれています。
「レコードのドキュメント」タブに入力されたブランディング情報をローカライズするには、ブラウザーのロケールを正しく設定してください。レコードのドキュメントのブランディング情報をカスタマイズするには、次の手順を実行します。
レコードのドキュメント内でパネル(ルートパネル)を選択して、 をタップします。
をタップします。「レコードのドキュメント」タブが表示されます。
レコードのドキュメントをレンダリングするための、デフォルトのテンプレートまたはカスタムのテンプレートのいずれかを選択します。デフォルトのテンプレートを選択すると、レコードのドキュメントのサムネイルが「テンプレート」ドロップダウンの下に表示されます。
デフォルトのテンプレートとカスタムのテンプレートのどちらを選択するかにより異なりますが、以下のプロパティの一部または全部が「レコードのドキュメント」タブに表示されます。以下のプロパティを指定して、レコードのドキュメントの表示方法を定義します。
基本のプロパティ:
テンプレート:カスタムテンプレートを選択する場合は、AEM Forms サーバーで XDP を参照して選択します。お使いの AEM Forms サーバーで利用できないテンプレートを使用する場合は、まず XDP を AEM Forms サーバーにアップロードする必要があります。
アクセントカラー:レコードのドキュメントの PDF でヘッダーテキストおよび区切り線がレンダリングされる色。
フォントファミリー:レコードのドキュメントの PDF にあるテキストのフォントファミリー。
データモデルにバインドしていないフォームオブジェクトを含める:このプロパティを設定すると、レコードのドキュメント内のスキーマベースのアダプティブフォームからバインドされていないフィールドが、レコードのドキュメントに追加されます。
フォームフィールドのプロパティ:
マスターページのプロパティ:
バージョン 6.3 より前の Forms Designer で作成されたアダプティブフォームテンプレートを使用している場合、アクセントカラーおよびフォントファミリーのプロパティを適用するには、ルートサブフォームの下にあるアダプティブフォームテンプレートに以下が存在することを確認してください。
<proto>
<font typeface="Arial"/>
<fill>
<color value="4,166,203"/>
</fill>
<edge>
<color value="4,166,203"/>
</edge>
</proto>
ブランディングの変更内容を保存するには、「完了」をタップします。
いくつかのフォームフィールドを使用すると、アダプティブフォームが長くなる場合があります。その場合、レコードのドキュメントをアダプティブフォームの正確なコピーとして保存することはお勧めしません。ここでは、1 つ以上のアダプティブフォームパネルをレコードのドキュメント PDF に保存するための表または列のレイアウトを選択できます。
レコードのドキュメントを生成する前に、パネルの設定の「レコードのドキュメントのレイアウト」で、パネル用に表または列を選択します。パネル内のフィールドは、レコードのドキュメントに合わせて配置されます。
レコードのドキュメントの表レイアウト内でレンダリングされたパネルのフィールド
レコードのドキュメントの列レイアウト内でレンダリングされたパネルのフィールド
レコードのドキュメントの設定では、レコードのドキュメントに含めるオプションを選択できます。例えば、銀行では、名前、年齢、社会保障番号、電話番号などをフォームから受け取ります。フォームは銀行口座番号と支店の詳細を生成します。 レコードのドキュメントでは、名前、社会保障番号、銀行口座、および支店の詳細のみが表示されるように選択できます。
レコードのドキュメントコンポーネントの設定は、そのプロパティで使用できます。コンポーネントのプロパティにアクセスするには、コンポーネントを選択し、オーバーレイ内の をクリックします。プロパティはサイドバーにリスト表示され、その中で次の設定を検索できます。
フィールドレベルの設定
レコードのドキュメントから除外:プロパティを「true」に設定すると、そのフィールドがレコードのドキュメントから除外されます。これは excludeFromDoR
という名前のスクリプト可能プロパティです。その動作は、非表示の場合はレコードのドキュメントからフィールドを除外フォームレベルプロパティに依存します。
パネルを表として表示:パネルに含まれるフィールドの数が 6 個未満の場合、このプロパティを設定することでパネルが表としてレコードのドキュメントに表示されます。この設定は、パネルにのみ適用されます。
レコードのドキュメントからタイトルを除外:このプロパティを設定すると、レコードのドキュメントからパネルや表のタイトルが除外されます。パネルおよび表に対してのみ適用できます。
レコードのドキュメントから説明を除外:このプロパティを設定すると、レコードのドキュメントからパネルや表の説明が除外されます。パネルおよび表に対してのみ適用できます。
フォームレベルの設定