このページでは、AEM 6.5 のアップグレード手順の概要を説明します。インストールがアプリケーションサーバーにデプロイされている場合は、アプリケーションサーバーのインストール環境のアップグレード手順を参照してください。
アップグレードを実行する前に、いくつかの手順を完了しておく必要があります。詳しくは、コードのアップグレードとカスタマイズおよびアップグレード前のメンテナンスタスクを参照してください。また、システムが新しいバージョンの AEM の要件を満たしていることを確認してください。パターン検出によってアップグレードの複雑性を推定できます。また、詳しくは、アップグレードの計画の「アップグレードの範囲と要件」の節を参照してください。
Java バージョンの最小要件:移行ツールは、Java バージョン 7 以降でのみ動作します。AEM 6.3 以上では、サポートされているバージョンは Oracle の JRE 8 と IBM の JRE 7 および 8 のみです。
アップグレード対象のインスタンス:アップグレード対象のインスタンスのバージョンが 5.6 よりも古い場合は、6.0 バージョンのアップグレードに関するドキュメントに記載されている手順に従って、AEM 6.0 へのインプレースアップグレードを事前におこなってください。
インスタンスが実行中である場合は停止します。
新しい AEM jar ファイルをダウンロードし、それを使用して crx-quickstart
フォルダーの外部にある古いファイルを置き換えます。
次のコマンドを実行して新しいクイックスタート jar を解凍します。
java -Xmx4096m -jar aem-quickstart.jar -unpack
AEM 6.3 からアップグレードする場合、この移行は必要ありません。6.3 以前のバージョンでは、リポジトリを AEM 6.3 で使用される新しいバージョンの Oak Segment Tar に移行するためのツールを提供しています。このツールはクイックスタートパッケージの一部として提供され、TarMK を使用するアップグレードには必須です。MongoMK を使用している環境のアップグレードでは、リポジトリを移行する必要はありません。新しい Segment Tar 形式の利点について詳しくは、Oak Segment Tar への移行に関する FAQ を参照してください。
実際の移行は、標準の AEM クイックスタート jar ファイルを使用して行います。この jar ファイルは、新しい -x crx2oak
オプションを指定して実行します。このオプションにより crx2oak ツールが実行され、アップグレードが容易になり、より堅牢になります。
CRX2Oak Quickstart 拡張を使用して TarMK リポジトリのコンテンツ移行を実行する場合は、移行コマンドラインに以下を追加することで samplecontent 実行モードを削除できます。
--promote-runmode nosamplecontent
実行すべきコマンドを決定するには、次のコマンドを使用します。
java -Xmx4096m -jar aem-quickstart.jar -v -x crx2oak -xargs -- --load-profile <<YOUR_PROFILE>> <<ADDITIONAL_FLAGS>>
<<YOUR_PROFILE>>
と <<ADDITIONAL_FLAGS>>
は、次の表にリストされているプロファイルとフラグに置き換えてください。
ソースリポジトリ | ターゲットリポジトリ | プロファイル | 追加のフラグ |
crx2 または TarMK FileDataStore |
TarMK | segment-fds | 後述のトラブルシューティングに関する節を参照 |
crx2 | MongoMK | mongo-from-crx2 | -T mongo-uri=mongo://mongo-host:mongo-port -T mongo-db=mongo-database-name |
TarMK または crx2 S3DataStore |
TarMK | segment-custom-ds | 後述のトラブルシューティングに関する節を参照 |
データストアなしの TarMK | TarMK | segment-no-ds | |
MongoMK | MongoMK | 移行は不要 |
この場合:
mongo-host
は、MongoDB サーバーの IP です(例:127.0.0.1)
mongo-port
は、MongoDB サーバーのポートです(例:27017)
mongo-database-name
は、データベースの名前です(例:aem-author)
次のシナリオでは、追加のスイッチが必要となる場合もあります。
--disable-mmap
パラメーターをコマンドに追加してください。crx2oak ツールの使用について詳しくは、CRX2Oak 移行ツールの使用を参照してください。crx2oak ヘルパーの JAR は、必要に応じて手動でアップグレードできます。そのためには、クイックスタートを展開した後、手動で新しいバージョンに置き換えます。AEM インストールフォルダー内のヘルパー JAR ファイルの場所は次のとおりです。<aem-install>/crx-quickstart/opt/extensions/crx2oak.jar
。最新バージョンの CRX2Oak 移行ツールは、アドビリポジトリ(https://repo1.maven.org/maven2/com/adobe/granite/crx2oak/)からダウンロードできます。
移行が正常に完了すると、ツールは終了コード 0 で終了します。さらに、AEM インストールディレクトリの crx-quickstart/logs
にある upgrade.log
ファイルで WARN および ERROR メッセージがないかどうかを確認してください。これらのメッセージは、移行中に発生した致命的ではないエラーを示している場合があります。
crx-quickstart/install
フォルダーにある設定ファイルを確認します。移行が必要であった場合、これらの設定ファイルは、ターゲットリポジトリを反映するように更新されます。
データストアに関する注意点:
AEM 6.3 インストールでは新しく FileDataStore
がデフォルトになっていますが、外部データストアの使用は必須ではありません。実稼動デプロイメントのベストプラクティスとして外部データストアを使用することをお勧めしますが、アップグレードの前提条件ではありません。AEM のアップグレードは既に複雑な処理なので、データストアを移行せずにアップグレードをおこなうことをお勧めします。必要であれば、別の作業として後からデータストアの移行を実行できます。
6.3 からアップグレードする場合、この節の説明はスキップしてください。提供されている crx2oak プロファイルはほとんどの環境のニーズに適合しますが、追加のパラメーターが必要になる場合もあります。移行中にエラーが発生する場合、お使いの環境の特定の特性に追加の設定オプションの指定が必要である可能性があります。その場合は、次のエラーが発生することがあります。
Checkpoints won't be copied, because no external datastore has been specified.This will result in the full repository reindexing on the first start.Use --skip-checkpoints to force the migration or see https://jackrabbit.apache.org/oak/docs/migration.html#Checkpoints_migration for more info.
何らかの理由で、移行プロセスがデータストア内のバイナリにアクセスする必要がありますが、データストアを見つけることができません。データストア設定を指定するには、移行コマンドの <<ADDITIONAL_FLAGS>>
部分に以下のフラグを挿入します。
S3 データストアの場合:
--src-s3config=/path/to/SharedS3DataStore.config --src-s3datastore=/path/to/datastore
/path/to/SharedS3DataStore.config
は、S3 データストア設定ファイルのパスを表します。/path/to/datastore
は、S3 データストアのパスを表します。
ファイルデータストアの場合:
--src-datastore=/path/to/datastore
/path/to/datastore
は、ファイルデータストアのパスを表します。
S3 を使用している場合:
以前のバージョンの S3 コネクタに関連する、crx-quickstart/install
内の jar を削除します。
https://repo1.maven.org/maven2/com/adobe/granite/com.adobe.granite.oak.s3connector/ から 1.10.x S3 コネクタの最新リリースをダウンロードします。
パッケージを一時フォルダーに抽出し、jcr_root/libs/system/install
の内容を crx-quickstart/install
フォルダーにコピーします。
アップグレードをおこなうには、jar ファイルを使用して AEM を起動し、インスタンスを実行することが重要です。6.5 にアップグレードする場合は、アップグレードコマンドで選択できる遅延コンテンツ移行のその他のコンテンツ再構築および移行オプションも検討してください。
Oracle Java 11(または一般にバージョン 8 より新しい Java)を実行している場合は、AEM の起動時にコマンドラインにさらにスイッチを追加する必要があります。詳しくは、 Java 11 に関する考慮事項を参照してください。
起動スクリプトから AEM を起動した場合、アップグレードは開始されません。ほとんどの顧客は、起動スクリプトを使用して AEM を起動します。また、メモリ設定、セキュリティ証明書など、環境設定に関するスイッチを追加するように起動スクリプトをカスタマイズしています。そのため、次の手順に従って、適切なアップグレードコマンドを確認することをお勧めします。
実行中の AEM インスタンスで、コマンドラインから次のコマンドを実行します。
ps -ef | grep java
AEM プロセスを探します。次のように表示されます。
/usr/bin/java -server -Xmx1024m -Djava.awt.headless=true -Dsling.run.modes=author,crx3,crx3tar -jar crx-quickstart/app/cq-quickstart-6.5.0-standalone-quickstart.jar start -c crx-quickstart -i launchpad -p 4502 -Dsling.properties=conf/sling.properties
既存の jar のパス(この場合は crx-quickstart/app/aem-quickstart*.jar
)を crx-quickstart
フォルダーと同じ階層にある新しい jar に置き換えて、コマンドを変更します。例として前述のコマンドを使用すると、コマンドは次のようになります。
/usr/bin/java -server -Xmx1024m -Djava.awt.headless=true -Dsling.run.modes=author,crx3,crx3tar -jar cq-quickstart-6.5.0.jar -c crx-quickstart -p 4502 -Dsling.properties=conf/sling.properties
これにより、適切なメモリ設定、カスタム実行モードおよびその他の環境パラメーターすべてがアップグレードに適用されます。アップグレードが完了すると、それ以降の起動時には起動スクリプトからインスタンスを起動できます。
インプレースアップグレードプロセスが完了したら、更新したコードベースをデプロイする必要があります。ターゲットバージョンの AEM で動作するようにコードベースを更新するための手順については、コードおよびカスタマイズのアップグレードのページを参照してください。
アップグレード後のチェックおよびトラブルシューティングを参照してください。