スタイルシステムを使用すると、テンプレート作成者がコンポーネントのコンテンツポリシーのスタイルクラスを定義し、コンテンツ作成者がページでのコンポーネントの編集時にそのスタイルクラスを選択できます。これらのスタイルは、1 つのコンポーネントの別の視覚的バリエーションとして使用することができるので、コンポーネントがより柔軟で扱いやすいものになります。
このため、スタイルごとにカスタムコンポーネントを開発したり、スタイル機能を有効化するためにコンポーネントのダイアログをカスタマイズする必要がなくなりました。これにより、AEM のバックエンド開発をしなくてもそのまま再利用可能な、コンテンツ作成者のニーズにすばやく簡単に応えることができるコンポーネントの数が増加します。
テンプレート作成者には、コンテンツ作成者がコンポーネントを操作するときの動作を設定する能力だけでなく、1 つのコンポーネントに複数の別の視覚的バリエーションを設定するための能力も必要です。
同様に、コンテンツ作成者には、コンテンツを構築して調整する能力だけでなく、コンテンツの視覚的な表示方法を選択する能力も必要です。
スタイルシステムでは、テンプレート作成者とコンテンツ作成者の両方の要件に対応する統一ソリューションを提供します。
その後、スタイルクラスはコンポーネントの装飾ラッパー要素に挿入されるので、コンポーネント開発者は CSS ルールを作成する以外にスタイルを処理する必要はありません。
スタイルシステムの使用は通常、次のように行われます。
Web デザイナーは 1 つのコンポーネントに対し様々な視覚的バリエーションを作成します。
HTML 開発者にはコンポーネントの HTML 出力と、実装する必要な視覚的バリエーションが提供されます。
HTML 開発者は各視覚的バリエーションに対応する CSS クラスを定義します。その CSS クラスが、コンポーネントをラップする要素に挿入されます。
HTML 開発者は視覚的バリエーションごとに対応する CSS コードを(オプションで JS コードも)実装し、それらは定義済みとなります。
AEM デベロッパーは、提供された CSS を(オプションで JS も)クライアントライブラリに配置し、デプロイします。
AEM 開発者またはテンプレート作成者は、ページテンプレートを設定し、スタイル設定された各コンポーネントのポリシーを編集します。また、定義済みの CSS クラスを追加し、スタイルごとにわかりやすい名前を付け、組み合わせが可能なスタイルを示します。
次に AEM ページ作成者は、ページエディターでコンポーネントのツールバーのスタイルメニューからデザイン済みのスタイルを選択できます。
最後の 3 つの手順のみが AEM で実際に実行されます。つまり、必要な CSS と Javascript のすべての開発は AEM なしで行うことができます。
実際にスタイルの実装で必要となるのは、AEM へのデプロイメント、および必要なテンプレートのコンポーネント内で選択することのみです。
次の図は、スタイルシステムのアーキテクチャを示しています。
この機能のデモを行うために、コアコンポーネントのタイトルコンポーネントの WKND による実装を例として使用します。
次のコンテンツ作成者として節とテンプレート作成者として節では、WKND のスタイルシステムを使用してスタイルシステムの機能をテストする方法について説明します。
スタイルシステムを独自のコンポーネントに使用する場合は、次の手順に従います。
WKND プロジェクトをインストールした後、WKND の英語のマスターホームページ(http://<host>:<port>/sites.html/content/wknd/language-masters/en
)に移動し、ページを編集します。
ページの下方のタイトルコンポーネントを選択します。
リストコンポーネントのツールバーで「スタイル」ボタンをタップまたはクリックしてスタイルメニューを開き、コンポーネントの外観を変更します。
この例では、カラースタイル(黒、白、グレー)は相互排他的ですが、スタイルオプション(アンダーライン、右揃え、最小間隔)は組み合わせることができます。これは、テンプレート作成者としてテンプレートで設定可能です。
WKND の英語のマスターホームページ(http://<host>:<port>/sites.html/content/wknd/language-masters/en
)の編集時に、ページ情報/テンプレートの編集でページのテンプレートを編集します。
コンポーネントの「ポリシー」ボタンをタップまたはクリックして、タイトルコンポーネントのポリシーを編集します。
プロパティの「スタイル」タブで、スタイルがどのように設定されているかを確認できます。
ドラッグハンドルを使用して、グループの順序やグループ内のスタイルを調整します。追加アイコンや削除アイコンを使用して、グループやグループ内のスタイルを追加したり削除したりします。
コンポーネントポリシーのスタイルプロパティとして設定されている CSS クラス(および必要な JavaScript)を動作可能にするには、クライアントライブラリとしてデプロイする必要があります。
コアコンポーネントのバージョン 2 以降はスタイルシステムの活用に完全に対応しているので、追加の設定は不要です。
以下の手順は、独自のカスタムコンポーネントに対してスタイルシステムを有効にする場合、または編集ダイアログのオプションの「スタイル」タブを有効にする場合にのみ必要です。
コンポーネントが AEM のスタイルシステムと連動し、デザインダイアログに「スタイル」タブが表示されるようにするには、コンポーネント開発者がコンポーネントに次の設定をおこなって「スタイル」タブを組み込む必要があります。
path = "/mnt/overlay/cq/gui/components/authoring/dialog/style/tab_design/styletab"
sling:resourceType = "granite/ui/components/coral/foundation/include"
コンポーネントが設定されると、すべての編集可能なコンポーネントを自動的にラップする装飾要素に、ページ作成者が設定したスタイルが自動的に挿入されます。この他にコンポーネント自体で行う必要があることはありません。
AEM バージョン 6.5.3.0 で、編集ダイアログのオプションとして「スタイル」タブが利用できるようになりました。「デザインダイアログ」タブとは異なり、編集ダイアログのタブは、スタイルシステムが機能するのに必須ではなく、コンテンツ作成者がスタイルを設定するためのオプションの代替インターフェイスです。
編集ダイアログのタブは、デザインダイアログのタブと同様の方法で組み込むことができます。
path = "/mnt/overlay/cq/gui/components/authoring/dialog/style/tab_edit/styletab"
sling:resourceType = "granite/ui/components/coral/foundation/include"
編集ダイアログの「スタイル」タブは、デフォルトでは有効になっていません。
開発者は cq:styleElements
文字列配列プロパティを使用して、コンポーネントのスタイルに使用できる要素名のリストを設定することもできます。その後、テンプレート作成者はデザインダイアログのポリシーの「スタイル」タブで各スタイルに設定する要素名を選択することもできます。これにより、ラッパー要素の要素名が設定されます。
このプロパティは cq:Component
ノードに設定されます。次に例を示します。
/apps/<yoursite>/components/content/list@cq:styleElements=[div,section,span]
組み合わせ可能なスタイルに要素名は定義しないでください。複数の要素名を定義した場合、優先順位は次のようになります。
data-sly-resource="${'path/to/resource' @ decorationTagName='span'}
)が他のすべての要素よりも優先されます。cq:htmlTag
または cq:tagName
がフォールバック値と見なされます。スタイル名を定義するこの機能は、レイアウトコンテナやコンテンツフラグメントコンポーネントなどの非常に一般的なコンポーネントに意味を追加できます。
例えば、レイアウトコンテナに <main>
、<aside>
、<nav>
のようなセマンティクスを指定できます。