Adobe Experience Manager(AEM)実装プロジェクトの管理では、(プロジェクトの実装前および実装中の)問題点とそれに関連する必要な決断を認識するために、計画を立てて理解する必要があります。
ベストプラクティスは次のような役に立つ内容で構成されています。
インタラクティブなチェックリスト。これらのベストプラクティスの進行状況を追跡および監視できます。
ドキュメント。直接チェックリストに基づいて、以下の詳細を説明しています。
詳細情報。特定の分野に関する詳細を提供します。
「プロジェクトのハートビート」ワークシートでは、プロジェクトの重要な指標の概要が図解されています。
フェーズの品質
フェーズのヘルス
フェーズの完了状況
「役割別のステータス」ワークシートには、ヘルス、品質および完了状況の詳細な分類が、フェーズおよびペルソナ別に表示されます。
プロジェクト計画は個別の(上位レベルの)フェーズに分類されます。
フェーズごとに独自のマイルストーンが含まれます。ペルソナ(役割)ごとに、関連するマイルストーンと、定義された成果物の作成に必要なドキュメントが一覧表示されます。
個々の必須ドキュメントと成果物の間には、直接の 1:1 の関係はありません。
プロジェクトの準備は、プロジェクト全体の基礎を形成します。以下の項目に関して、主要な要件、および明確な目標と期待を定義する必要があります。
ビジネスの論理的根拠
適用範囲とスケジュール
プロジェクトの準備、計画および実行方法と、ソリューションの実装方法は、決められた予算や日程、コンテンツの量、求められる品質などの制約による影響を受けます。
すべての場合に当てはまりますが、ある要因を調整すると別の要因が影響を受けます。例えば、期間を短縮し、かつ同じ品質水準を要求すると、価格は上昇し、満足できるコンテンツの量は減少します。予算が重要な要因となることが多いので、このような関係を忘れてはなりません。
4 つの要因は次のとおりです。
検証
このフェーズでは、次のようなプロジェクトの目標を検証し、確認する必要があります。
予算
プロジェクトを開始する前に、実装にかかるコストに関して信頼性が高く現実的な見積もりをおこなう必要があります。
プロジェクトを計画すると、準備が一本化されます。ここではまず、目標と期待を転換することにより、具体的なタスクから成り、明確なコミュニケーションを伴い、厳格なレビューによって進行状況を測定する、十分に定義されたロードマップを作成する必要があります。
引き継ぎ
引き継ぎを明確化することで、適切なペルソナまたはグループが、プロジェクト内の自らの責任を確実に理解できるようになります。
それには、ロードマップ、適用範囲、目標、要件および KPI を含む関連するすべての局面を十分に理解できるように、完全な詳細を提供または生成する必要があります。
リスク評価
不測の事態を避けるために、リスク評価を使用して、潜在的なリスクおよびその影響と発生確率を識別し、定量化します。
これは、プロジェクトのライフサイクルの早期に実施し、脆弱性を確実に識別して評価する必要があります。結果に基づいて、要件がすべて実装可能かどうか、また必要に応じて、適切な措置を実施して追跡することが可能かどうかを関係者に報告できます。
コミュニケーション
どんなプロジェクトにおいても、コミュニケーションは常に成功への鍵となります。明確かつ効率的なコミュニケーションにより、全員が次のことを確実におこなえるようにする必要があります。
キックオフ
キックオフミーティングは、プロジェクト開始の認識を高めるために使用されます。次のことをおこなう良い機会です。
開発計画は、強固なデザインに基づき、必要な知識を持つチームがプロジェクトを構築するための確かな鍵となります。
開発チームの人員確保とトレーニング
プロジェクトに取り掛かる前に、開発チームに適切な人材が確保されていて、チームのメンバー全員が必要なトレーニングを受けていることを確認する必要があります。
コンテンツのアーキテクチャ
コンテンツのアーキテクチャでは、以下を含むコンテンツの将来のアーキテクチャを定義し、説明します。
システムのアーキテクチャ
システムのアーキテクチャでは、特に次の情報を含むシステムの概念表示を定義します。
アプリケーションのアーキテクチャ
アプリケーションのアーキテクチャでは、提案されたアプリケーションの動作を定義し、説明します。
以下に焦点が当てられています。
定義は以下の点をカバーする必要があります。
システムの統合
システムの統合には、以下の計画(および実装)が必要です。
テスト概念
開発を始める前に、プロジェクトのすべてのテスト要件の詳細かつ包括的な概念を作成する必要があります。
これには、特に以下を含める必要があります。
エクスペリエンスデザイン
エクスペリエンスデザイン(XD)には、ソリューションのユーザーエクスペリエンスのデザインが含まれます。
Web サイトの作成者と最終ユーザーの双方に関してユーザーエクスペリエンスを分析し、開発する必要があります。
サポートのセットアップ
開発前に、デプロイ、リリース、テストおよび問題の報告に必要なすべてのサポートプロセスを設定しておく必要があります。
アドビのサポートポータルも参照してください。
同様に、運用を適切に計画し、プロジェクトのライフサイクルの全段階に関して、必要な環境が整っていることを確認する必要があります。また、メンテナンスのための適切なプロセスも必要です。
権限
ソリューションを使用するすべてのユーザーおよびグループに関して、役割と権利の概念を計画し、実装する必要があります。
次に例を示します。
read
/write
アクセス権限の定義replicate
など)editor
グループのユーザーは、admin
の権利を持つことも、administrators
グループに属することもできません。詳しくは、ユーザー管理とセキュリティを参照してください。
監視とメンテナンス
監視とメンテナンスは、実稼動後のソリューションのスムーズな運用を実現するために重要な局面です。そのためには、以下を定義する必要があります。
詳しくは、監視とメンテナンスも参照してください。
移行
レガシーシステムに由来するコンテンツは、移行用にレビューし、検証する必要があります。
障害回復計画
障害回復計画が整っていることを確認します。緊急時には、この計画により、AEM の実稼動環境を保護できるようにする必要があります。バックアップ、復元、フェイルオーバーおよびその他の状況をカバーします。
開発は重要なフェーズであり、必要なのはコーディングだけではありません。
開発環境
以下を含めて、開発環境を計画し、文書化します。
テストシステム
以下を含めて、テスト環境を計画し、文書化します。
実稼動システム
以下を含めて、実稼動環境を計画し、文書化します。
統合
以下を含めて、システムおよびソリューションの統合のすべての局面を計画、文書化およびテストします。
移行
以下を含めて、コンテンツ移行のすべての局面を計画、文書化およびテストします。
コミュニケーション
チームの全メンバーおよびプロジェクトのペルソナに必要な最新情報を伝達します。
ドキュメント
以下を含めて、ソリューションを完全に文書化します。
新しいアプリケーションが使用可能になったら、機能とパフォーマンスの両面で厳格なテストをおこなう必要があります。
テストチームは、中立を保ち、テスト結果を提供する必要があります。
結果の影響を評価し、適切な行動を決定するのは、プロジェクトマネージャーの責任です。
エンドユーザー受け入れテスト
ユーザー受け入れテスト(UAT)は、以下のことを確実にする上で重要です。
顧客への引き渡し用の形式化されたチェックリストが必要です。自動化され、スナップショットに対して夜間に実行されるのが理想的です。その結果をプロジェクトマネージャーおよび開発チームに送信する必要があります。
パフォーマンステストと負荷テスト
パフォーマンステストと負荷テストは、平均負荷とピーク負荷でソリューションが必要なパフォーマンスレベルを満たしていることを確認するために使用されます。
パフォーマンステストについて詳しくは、以下を参照してください。
このプロセスは、通常の AEM 使用時も引き続き実行する必要がありますが、この初期段階では最も重要です。
スムーズに運用を開始するためには、新しいアプリケーションのロールアウトを慎重に計画する必要があります。これには、全体的なセキュリティの確認、見込みユーザー全員のトレーニング、すべての問題が対応済みであることを確認するためのドライランの複数回に渡る実行が含まれます。
準備
準備と計画は、スムーズなロールアウトの実現に役立ちます。
トレーニング
関与する全スタッフがトレーニングを受けていることを確認します。
コースカタログで Adobe Experience Manager を参照してください。
管理者のトレーニング
ソリューション管理者に関して、以下のことを確認します。
ユーザーのトレーニング
作成者に関して、以下のことを確認します。
侵入テスト
侵入テストでは、コンピューターシステムへの攻撃をシミュレートして、潜在的なセキュリティの弱点を特定します。
侵入/セキュリティテスト
ソリューションのセキュリティを確実にするために、特定の侵入テストを、多岐に渡るセキュリティテストとともに実行します。
詳しくは、セキュリティチェックリストを参照してください。
運用開始は可能な限りスムーズにする必要があります。ここでも、クリーンな実行のために、最終手順を計画する必要があります。
準備
準備と計画は、スムーズな運用開始の実現に役立ちます。
セキュリティ
内部、外部両方のユーザーとユーザーのコンテンツに対して、ソリューションのセキュリティを確認します。
フォールバック
運用開始前に、フォールバックに必要なシステム、手順およびメカニズムがすべて揃っていることを確認します。
サポート
サポートサービスが整っていて、準備ができていることを確認します。
トランジション
実稼動環境およびユーザーへの切り替えを計画し、実行します。
ロールアウト
スモークテストを準備して実行します。
チェックリストはペルソナによってデザインされます。この役割は、プロジェクトのライフサイクルに重要な関わりを持っています。
また、特定のタスクに関与しているその他のペルソナも存在します。
プロジェクトスポンサーは、
プロジェクトにビジネス事例を提供または提示します。
以下を含むプロジェクトの適用範囲を形成し、定義する上での鍵となります。
クライアントのロードマップに基づいて主要なマイルストーンを提供します。
プロジェクトマネージャーの役割:
ソリューションアーキテクトの役割:
ビジネスアナリストの役割:
全体的な要件を収集して分析し、次のような仕様に転換する作業を主に担当します。
クライアントと密接に協力して要件を分析し、以下に照らして要件を一致させます。
開発リーダーの役割:
プロジェクトを技術的に遂行します。
クライアントの要件に準拠する開発方法を選択します。
次のようにして開発戦略を作成します。
アーキテクトと密接に協力し(特に AEM の開発戦略を作成する際)、テンプレートとコンポーネントの関係、サードパーティアプリケーションの統合戦略、特殊な機能などを定義します。
品質リーダーの役割:
システムエンジニアの役割:
プロジェクトのインフラストラクチャを監督します。
次の作業を担当します。
推奨されるハードウェアを提案し、様々な実装を監視し、運用開始前後の運用サポートを提供します。
セキュリティリーダーの役割:
関係者
法律担当者
トレーナー
テクニカルライター
システム管理者
作成者とエンドユーザー
チェックリストは、各マイルストーンの必須ドキュメントおよび成果物をカバーしています。
必須ドキュメントは、適切なペルソナが自身の成果物を生成する際に必要になります。
必須ドキュメントごとに、ペルソナは以下を示す必要があります。
マイルストーンごとに、適切なペルソナが特定のドキュメントを提供します。そのため、各自が特定のマイルストーンに対する自身の責任を認識しています。
成果物ごとに、ペルソナは以下を示す必要があります。
成果物は、多くの場合、現在のマイルストーンまたは後続のマイルストーンの必須ドキュメントとして使用されます。
デプロイ、管理、開発またはオーサリングのベストプラクティスについては、以下を参照してください。
AEM のドキュメント
さらに、AEMドキュメントの以下の節が特に重要です(ただし、この一覧は完全なものではありません)。
関連ドキュメント