E メール配信の複数のコンテンツがあり、どのバージョンがターゲットの母集団に対し効果的なコンテンツであるのかを見極めたい場合、一部の受信者に対し異なるバージョンを送信してその中から最も成功率の高かったものを選び出し、それを残りの受信者に送信するといったことが可能です。
この使用例では、ターゲティングワークフローを使用して、2 つの E メール配信コンテンツを比較します。どちらの配信でも、メッセージとテキストは同一とし、レイアウトのみを変更します。
ターゲットの母集団は 3 つに分割します。2 つのテストグループと、その他の母集団です。各テストグループに別々のバージョンを配信します。配信完了から 5 日間の待機期間を設定します。この待機期間の終了後に結果を集め、開封率の最も高いものを見極めます。次に、最もスコアの高い配信コンテンツをスクリプトで復元し、テストグループとして使用しなかった母集団に送信します。
どの配信で最もスコアが高いのかを判断する基準は、個々のニーズに応じて変わる可能性がある点に注意してください。開封率、クリックスルー率、購読率、応答度などが、この判断基準の候補として挙げられます。
また、この使用例で説明したテストでは 2 つの配信だけしか扱っていませんが、必要に応じてもっと多くのバージョンをテストすることもできます。その場合は、単にアクティビティをワークフローに追加するだけです。
A/B テストを作成するには、次の手順に従います
キャンペーンの「ターゲティングとワークフロー」タブでワークフローを作成する必要があります。このワークフローは、1 つの「クエリ」アクティビティ、2 つの「E メール配信」アクティビティとリンクした 1 つの「分割」アクティビティ、1 つの「待機」アクティビティ、1 つの「JavaScript コード」アクティビティ、1 つの「配信」アクティビティから構成されます。
まだ作成していない場合は、キャンペーンを作成します(詳細は、この節を参照してください)。
「ターゲティングとワークフロー」タブに移動します。
既存のワークフローのラベルを変更するか、「追加」をクリックして、新しいラベルを作成します(これについて詳細は、この節を参照してください)。
マウスを使用してワークフローダイアグラムにアクティビティをドラッグ&ドロップします。対象となるアクティビティには、1 つの「クエリ」アクティビティ(「ターゲット」タブ)、1 つの「分割」アクティビティ(「ターゲット」タブ)、2 つの「E メール配信」アクティビティ(「配信」タブ)、1 つの「待機」アクティビティ(「フロー制御」タブ)、1 つの「JavaScript コード」アクティビティ(「アクション」タブ)、1 つの「配信」アクティビティ(「アクション」タブ)などがあります。
「クエリ」アクティビティをダブルクリックします。
「クエリを編集」リンクをクリックし、ターゲティング対象の受信者を選択します。
「クエリ」アクティビティを「分割」アクティビティとリンクします。
このアクティビティでは、配信 A を受信する母集団、配信 B を受信する母集団、その他の母集団といったように複数の母集団を作成することができます。ランダムな抽出をおこなうことで、各配信の母集団の部分のみをターゲティングすることが可能です。
母集団 A の作成
「分割」アクティビティをダブルクリックします。
既存のタブで、ラベルを母集団 A に変更します。
「選択レコード数の制限」オプションを選択します。
「編集」リンクをクリックし、「ランダムサンプリングを有効化」を選択して、「次へ」をクリックします。
しきい値を 10% に設定して、「完了」をクリックします。
母集団 B の作成
「追加」をクリックして、母集団 B に使用する新しいタブを作成します。
A と同じように、母集団を 10% に制限します。
その他の母集団の作成
「一般」タブに移動します。
「補集合を生成」を選択します。
ラベルを変更して、この母集団には A も B も含まれないように指定し、「OK」をクリックしてアクティビティを閉じます。
ここでは、2 つの配信テンプレートを作成します。各テンプレートは、「分割」アクティビティとリンクした「E メール配信」アクティビティで参照されます。詳しくは、この節を参照してください。
リソース/配信テンプレートフォルダーへ移動します。
「E メール」配信テンプレートを複製します。
配信 A に使用するコンテンツを作成します。
この手順を繰り返し、配信 B のテンプレートも作成します。
次のステップで配信を設定します。設定する配信は、前のステージの手順 2:母集団サンプルの設定で作成した 3 つの母集団用のものです。最初の 2 つの配信では、母集団 A と母集団 B にそれぞれ異なるコンテンツを送信することができます。一方、3 番目の配信は、A の配信も B の配信も受信しない母集団用のものです。このコンテンツはスクリプトで割り出します。A のコンテンツと B のコンテンツのどちらかと同一のものになり、どちらのコンテンツの開封率が高いかに応じて決まります。3 番目の配信の待機期間を設定し、配信 A、配信 B の結果を特定する必要があります。そのため、3 番目の配信には「待機」アクティビティを実装します。
「分割」アクティビティに移動し、母集団 A 用のトランジションを、既にワークフローにある E メール配信のトランジションとリンクします。
配信をダブルクリックして開きます。
ドロップダウンリストで、配信 A のテンプレートを選択します。
「続行」をクリックして配信を表示し、保存します。
母集団 B 用の「分割」アクティビティのトランジションを 2 番目の E メール配信にリンクします。
配信を開き、配信 B のテンプレートを選択し、配信を保存します。
その他の母集団用のトランジションを「待機」アクティビティとリンクします。
待機アクティビティを開き、5 日の待機期間を設定します。
「待機」アクティビティを「JavaScript コード」アクティビティとリンクします。
その他の母集団用の配信コンテンツを、スクリプトで割り出します。このスクリプトでは、最も開封率の高い配信について情報を復元し、その内容を最終の配信にコピーします。
ターゲティングワークフローで、以下のようにスクリプトを使用します。詳しくは、実装を参照してください。
// query the database to find the winner (best open rate)
var winner = xtk.queryDef.create(
<queryDef schema="nms:delivery" operation="get">
<select>
<node expr="@id"/>
<node expr="@label"/>
<node expr="[@operation-id]"/>
<node expr="[@workflow-id]"/>
</select>
<where>
<condition expr={"@FCP=0 and [@workflow-id]= " + instance.id}/>
</where>
<orderBy>
<node expr="[indicators/@estimatedRecipientOpenRatio]" sortDesc="true"/>
</orderBy>
</queryDef>).ExecuteQuery()
// create a new delivery object and initialize it by doing a copy of
// the winner delivery
var delivery = nms.delivery.create()
delivery.Duplicate("nms:delivery|" + winner.@id)
// append 'final' to the delivery label
delivery.label = winner.@label + " final"
// link the delivery to the operation to make sure it will be displayed in
// the campaign dashboard. This attribute needs to be set manually here since
// the Duplicate() method has reset it to its default value => 0
delivery.operation_id = winner.@["operation-id"]
delivery.workflow_id = winner.@["workflow-id"]
// adjust some delivery parameters to make it compatible with the
// "Prepare and start" option selected in the Delivery tab of this activity
delivery.scheduling.validationMode = "manual"
delivery.scheduling.delayed = 0
// save the delivery in database
delivery.save()
// store the new delivery Id in event variables
vars.deliveryId = delivery.id
スクリプトについて詳しくは、スクリプトの詳細を参照してください。
「JavaScript コード」アクティビティを開きます。
スクリプトの例で提供されたスクリプトを JavaScript コードウィンドウにコピーします。
「ラベル」フィールドに、次のようなスクリプト名を入力します。
<%= vars.deliveryId %>
「JavaScript コード」アクティビティを閉じます。
ワークフローの保存
このセクションでは、スクリプトの様々な機能とその動作モードについて詳しく説明します。
まずはじめは、クエリです。queryDef コマンドでは、ターゲティングワークフローを実行して作成した配信を「NmsDelivery」テーブルから復元することや、それらの配信を推定の開封率に応じて並べ替えることでき、開封率の高い配信の情報が復元されます。
// query the database to find the winner (best open rate)
var winner = xtk.queryDef.create(
<queryDef schema="nms:delivery" operation="get">
<select>
<node expr="@id"/>
<node expr="@label"/>
<node expr="[@operation-id]"/>
</select>
<where>
<condition expr={"@FCP=0 and [@workflow-id]= " + instance.id}/>
</where>
<orderBy>
<node expr="[indicators/@estimatedRecipientOpenRatio]" sortDesc="true"/>
</orderBy>
</queryDef>).ExecuteQuery()
開封率の最も高い配信を複製します。
// create a new delivery object and initialize it by doing a copy of
// the winner delivery
var delivery = nms.delivery.create()
delivery.Duplicate("nms:delivery|" + winner.@id)
複製した配信のラベルを変更し、"final" という単語を追加します。
// append 'final' to the delivery label
delivery.label = winner.@label + " final"
キャンペーンのダッシュボードに配信をコピーします。
// link the delivery to the operation to make sure it will be displayed in
// the campaign dashboard. This attribute needs to be set manually here since
// the Duplicate() method has reset it to its default value => 0
delivery.operation_id = winner.@["operation-id"]
delivery.workflow_id = winner.@["workflow-id"]
// adjust some delivery parameters to make it compatible with the
// "Prepare and start" option selected in the Delivery tab of this activity
delivery.scheduling.validationMode = "manual"
delivery.scheduling.delayed = 0
配信をデータベースに保存します。
// save the delivery in database
delivery.save()
複製した配信の一意の識別子をワークフロー変数として保存します。
// store the new delivery Id in event variables
vars.deliveryId = delivery.id
上記の例では、E メールの開封率に応じて配信するコンテンツを選択することができます。次のようなその他の配信固有の指標を基にすることが可能です。
[indicators/@recipientClickRatio]
[indicators/@reactivity]
[indicators/@refusedRatio]
(sortDesc 属性には、値 false を使用)[indicators/@transactionRatio]
[indicators/@totalWebPage]
[indicators/@optOutRatio]
[indicators/@amount]
.A/B テストの勝者を選択するスクリプトの作成後は、最終配信のパラメーターを定義できます。
「JavaScript コード」アクティビティを残りの「配信」アクティビティに接続します。
「配信」アクティビティを開きます。
このアクティビティによってワークフローを終了するために「アウトバウンドトランジションを生成」オプションをオフにします。
その他のオプションはデフォルト値のままにしておきます。
(「Javascript コード」アクティビティで定義された)トランジションで指定された配信を準備することで、次の手順で説明する、承認と配信の開始が可能になります。
「開始」ワークフローをクリックします。
キャンペーンダッシュボードで、配信 A と配信 B のターゲットとコンテンツを承認します。
配信を確定します。
5 日間の待機が終了した後に、どのコンテンツが割り出されたのかを判断します。
このケースでは、テンプレート B が選択されます。
3 番目の配信のコンテンツが決定したら、ターゲットとコンテンツを承認します。
テストの配信が完了したら、どの受信者に配信をおこなったかをチェックし、開封の有無を確認します。
どの受信者がターゲットになっていて、キャンペーンダッシュボードから配信を開封したのかを確認するには、「配信」タブをクリックします。
配信が開封されたかどうかを確認するには、「トラッキング」タブに移動します。
ほかの配信との比較
この例では、配信 B の開封率が最も高くなっています。これは、コンテンツ B が最終の配信で使用されることを意味します。